パリ五輪代表のFC町田ゼルビアMF平河悠(23)が勝利を置き土産に欧州移籍へと踏み出した。同クラブは、平河がこの日の名古屋戦後に海外クラブへの移籍を前提にチームから離脱すると発表。急きょ国内ラストマッチとなる中、前半30分にMF下田北斗の決勝点をアシストし、1-0の勝利をつかんだ。黒田監督ら一緒に戦った仲間たちの思いを背負い、新たな挑戦に走りだした。

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突然の離脱だった。町田はチーム名などを伏せた上で「海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のため」同日に開催される名古屋戦後に離脱するとした。現地でのメディカルチェックを経て正式契約を結ぶための渡欧となる。この日までにイングランド2部ブリストル・シティーへの移籍が決定的となっていた。

平河はいつもと変わらぬ様子で先発ピッチに立ち、攻守に渡る鋭いスプリントを披露。スタートからエンジン全開だった。そして前半30分、自らのラストマッチで得点に絡んだ。ペナルティエリア内でボールを受けると、斜め後方の下田へパス。そのプレーからゴールが生まれた。

1点をリードするとチームのプレー強度はより上がった。「悠を勝利で送り出そう!」。試合前に黒田監督がチームに呼びかけた。その言葉を全員が胸に刻み、それぞれの背中を押した。チームが美学とする「ウノゼロ(1-0)」。黒田サッカーを体現する看板選手のラストマッチにふさわしいスコアで勝利をつかんだ。後半追加タイムに平河はピッチから下がると満足そうな笑みを浮かべた。

黒田監督は「平河は今日で最後。いろんな思いがあった。2年半、町田のサッカーに勝利で貢献してくれた。笑顔で勝って送り出そうと。チーム全員が一生懸命戦ってくれた」。福岡と並び今季リーグ最多の10試合目の無失点試合だ。町田史上初の海外移籍選手。その門出をきれいなシロで送り出すことに成功した。

平河は「やり切ったし、後悔は何もない。プロとして壁を一つ一つ乗り越えながらプレーの強度が上がった」。佐賀西高時代は全国的に無名。プロになろうとは考えもしなかった。山梨学院大、町田と地道に努力を重ね、パリ五輪代表、そして欧州移籍も現実のものとした。「首位のチームから離れるけど、失速しない選手層がある。ここまで来たら優勝してもらいたい」。仲間に夢を託し、自らのもう一つの夢に向かった。【佐藤隆志】

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