アビスパ福岡のルーキーFWサニブラウン・ハナン(19)が、衝撃のJ1デビュー弾を決めた。名で分かる通り、兄はあの男。陸上男子100メートルの世界選手権東京大会日本代表、サニブラウン・ハキーム(26=東レ)の弟で、ユース出身のストライカーが初出場初得点をマークした。
これまでベンチ入り止まりだったハナンは0-2の後半42分、DF田代雅也に代わってプロ初出場。その5分後に、いきなり驚かせた。アディショナル(追加)タイム2分、左サイドからMF橋本悠が右足で上げたクロスに飛び込む。187センチの長身に、高い跳躍力も兼ね備える背番号32が、相手GKより先に、高い打点で頭を合わせてゴールに押し込んだ。
広島の守護神は、今季J1最少失点(前節まで21失点)を誇っていた日本代表の大迫敬介(26)だ。今月の米国遠征で米国相手にフル出場。0-2で敗れはしたものの、ビッグセーブを連発した男から、度肝を抜くJ1お披露目5分弾をたたき込んだ。
兄ハキームは、男子100メートルで日本史上初の世界選手権2大会連続ファイナリスト8人(22年オレゴン大会、23年ブダペスト大会)に残ったエース。昨夏パリ五輪(オリンピック)では準決勝敗退だったものの、日本歴代2位の9秒96をマークした。今月の世界選手権東京大会は負傷明けで予選敗退に終わったが、高校卒業後に米国へ渡ってプロになった先駆者だ。
その7歳下の弟も、兄の190センチ、83キロに負けない187センチ、80キロの恵まれた体格を持つ。ガーナ人の父と、短距離選手だった日本人の母の間に生まれ、同様に快足と身体能力が武器。100メートルこそ計測したことはないが「50メートルは6秒0台」で走れるという。
東京都生まれ。中学までは関東のサッカークラブに所属し、高校1年から福岡に移ってユースに入った。そこで、より筋力強化に取り組んだことで「ジャンプ力」と「ぶつかり合う力」は兄よりも上、と自負している。「ストロングポイントはジャンプ力やフィジカルを生かした競り合いとスピード」。そう入団会見で力強く語った19歳が、見事にプロ1戦目で体現した。
トップ昇格が決まった際は、兄ハキームから「頑張れ」とエールを送られた。
「『自覚をもってやれよ!』ということだと思う。まずはトップチームで試合に出て、そこから海外に行って、ワールドカップ(W杯)で得点を取れる選手になりたい」
そう話していた世界的スプリンターの弟が、世界的ストライカーへの第1歩を劇的に飾った。



