日本はW杯で過去3度1次リーグを突破しているが、すべて『ベスト16の壁』にはね返された。しかし、その壁は決して高かったわけではない。これまでの日本の決勝トーナメント1回戦はいずれも紙一重の差と、少しの不運が重なった敗退だった。

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★2002年日韓大会 2勝1分けで1次リーグを首位通過した日本は、トルコと対戦した。勝ち点3ながら得失点差の2位で勝ち上がった恵まれた相手だったが、1次リーグ突破で「目的は達成された」と達成感に満たされていたフィリップ・トルシエ監督は、先発2トップを鈴木、柳沢から西沢、三都主に代えて臨んだ。試合は0-1。前半12分にCKからDFダハラに頭でシュートを決められたが、不運にもDF松田が相手選手にユニホームを引っ張られてマークできなかった。トルコは準々決勝でセネガルも1-0で下してベスト4進出。勝っていれば日本にもベスト4の可能性はあった。

★2010年南アフリカ大会 1次リーグ2位通過のFIFAランク45位の日本に対して、同1位通過のパラグアイは31位。実力的にも勝てるチャンスは十分にあった。日本はこれまでの3試合と同じ布陣で臨んだ。前半はボールを支配されたが、後半はFW岡崎、MF中村憲を投入して積極的に攻めた。しかし、1次リーグ3試合1失点のパラグアイの堅守を崩せず、0-0のまま90分間が終了。延長戦も両チーム無得点に終わり、PK戦は3人目のDF駒野が失敗して3-5で敗れた。勝っていれば準々決勝の相手は優勝国スペインだった。

★2018年ロシア大会 日本は1次リーグでセネガルと勝ち点、得失点差、総得点で並んだが、警告を減算する「フェアプレーポイント」で2位通過。1位通過で世界ランク3位のベルギーと対戦した。後半3分のMF原口の先制ゴールに続き、同7分にMF乾がミドルシュートをたたき込み2点を先行したが、その後、同点とされて4分間のロスタイムに突入。MF本田のCKをキャッチしたGKクルトワから高速カウンターを許して逆転弾を浴び、直後に試合終了の笛が鳴った。シュート数は日本の11本に対してベルギー24本。内容も地力に勝るベルギーが圧倒していた。ベルギーは準々決勝でブラジルも2-1で撃破。準決勝で優勝したフランスに0-1で敗れた。

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決勝トーナメントは一発勝負。しかし、過去の戦いが示すようにチャンスは十分ある。1次リーグでたまった選手の疲労や故障、運も左右してくる。森保ジャパンの4度目の正直に期待したい。