バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(28)が、14日のセルタ戦で見せたプレーが、インターネット上で議論を巻き起こしている。

 後半36分だった。3-1でリードしていたバルセロナがPKを獲得。メッシがペナルティースポットに立った。

 メッシはこのPKが決まれば、スペインリーグ通算300点に到達するところだった。

 ところが次の瞬間、だれもが驚いた。メッシはゴールへ向けてシュートを打たず、すぐ右へ緩いパスを出した。するとウルグアイ代表FWルイス・スアレス(29)が走り込み、ゴールへ蹴り込んだ。スアレスはこの試合ですでに2得点しており、メッシの「心づかい」によってハットトリックを達成した。

 ルール上は問題ないプレーだが、英テレグラフ紙(電子版)によると、インターネットを中心に「相手を小ばかにするプレーで、侮辱ではないか」と批判の声も上がっているという。

 ファンによるツイッターの書き込みには「メッシとスアレスはとても傲慢(ごうまん)で、相手への敬意を欠く」や「スアレスにハットトリックを取らせたいのであれば、最初からPKをスアレスに蹴らせればいい」などの書き込みが相次いだ。

 テレグラフ紙が行ったネット投票では「必要のないスタンドプレーだった」とする人が日本時間15日午後8時の時点で40%。「真の天才による瞬間だった」とする人が60%。「肯定派」が上回ったが、否定的な意見も多かった。

 事の是非はともかく、バルセロナの元監督で、オランダ代表の伝説的選手でもあるヨハン・クライフ氏(68)の血が、クラブに脈々と流れているのは間違いない。実はメッシが行ったのと同様のPKを、クライフ氏もアヤックス時代に決めているのだ。

 クライフ氏は13日に自身が患っている肺がんの状態について声明を発表。「今現在の気分は前半を2-0でリードし、まだ試合は終わっていない感じ。だが勝利を確信している」とした。

 メッシのPKは、がんと戦うクライフ氏へ向けた激励のメッセージではないか-。そう思うのは、筆者の考えすぎだろうか。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)