昨シーズンを不本意な結果で終えたレアル・ソシエダードの選手たちは、つかの間の休暇で気持ちをリフレッシュし、新シーズンに向けた準備を早くも開始する。
■日本ツアーに英国遠征
チームは7月7日にプレシーズンを開始し(久保建英など6月の代表戦に参加した選手は遅れて合流予定)、日本ツアーとイギリス遠征を含むテストマッチを実施する予定だ。その対戦相手は、ポー(フランス2部)、V・ファーレン長崎、横浜FC、オサスナ、レンヌ、ボーンマス(2試合)は7チーム。
昨季、欧州カップ戦の出場権を6季ぶりに逃したRソシエダードはチームを6年半率いたイマノル・アルグアシルが退任し、新たにBチームを指揮していたセルヒオ・フランスシスコが監督就任した。
久々の監督交代でチームは変革の時を迎えるが、メンバー編成に関してはここまであまり動きがない。昨季のメンバーでチームを離れたのは、ウェストハムから期限付き移籍で来ていたアゲルドのみ。
その他、中盤の要スビメンディのアーセナル移籍が決定的で、ブライス・メンデスや戦力外のベッカーに退団の可能性がある一方、レミーロはアストン・ビラに狙われているが残留の意思を表明している。
久保も退団の可能性が取り沙汰される1人だが、去就に関する報道の多くは信ぴょう性が疑わしいメディアからのものばかり。スペインの大手紙やクラブの地元紙から具体的な情報はほとんど出ていない。
■ボランチ、CFが必須
補強の進展具合はあまり芳しくない。アゲルドとスビメンディの退団、昨季失敗に終わった攻撃陣の出来を受け、現地ではセンターバック、ボランチ、センターフォワードの獲得が必須と考えられている。しかし、約4000万(約68億円)の収入減が予想され、参加する大会がスペインリーグと国王杯のみと試合数が大幅に減少することを考慮すると、補強の動きが鈍るのは致し方ないことかもしれない。
現時点では誰とも契約を結んでおらず、獲得候補として具体的な名前が出ているのは、アゲルドの代役として期待されるセンターバックの2人のみだ。
ブライトンのブラジル人DFイゴール・フリオは合意間近との報道がある。左サイドバックでもプレーできるポリバレントな能力は、昨夏獲得したハビ・ロペスが期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったため、Rソシエダードにとって魅力的な要素となるだろう。
もう1人はボーンマスのアルゼンチン人DFマルコス・セネシ。代表歴のある選手だが昨季はあまり出番に恵まれず、契約も来年までと獲得しやすい状況にある。
その他、中盤ではジローナのスペイン人MFイバン・マルティン、攻撃陣ではアウグスブルクのクロアチア人FWディオン・ベーリョ、ヘタフェのスペイン人FWボルハ・マジョラル、エスパニョールとの契約が満了したスペイン人FWハビ・プアード、アトレチコ・マドリードのスペイン人FWロドリゴ・リケルメなどの名前がこれまでに挙がっているが、誰一人具体的にはなっていない。
■Bチームは2部に昇格
一方、期限付き移籍からサディク(バレンシア)、カルロス・フェルナンデス(2部カディス)、デ・サラテ(エスパニョール)、カリカブル(2部ラシン・サンタンデール)などが戻ってきた。このうちクラブは前者2人の売却を考えているが、特にサディクは移籍金と年俸の高さが障害となり、簡単にはいかないだろう。
また、2部ミランデスに武者修行に出ていたMFゴロチャテギのトップチーム昇格が濃厚である一方、昨季後半戦を2部コルドバで過ごしたマグナセライアが2部エイバルに完全移籍している。
補強の動きが鈍化する中、Bチームが2部昇格を成し遂げたことは、下部組織の能力の高さや将来有望な選手が揃っていることを示すポジティブな要素となる(※1部クラブのBチームで今季、2部に属するのはRソシエダードのみ)。実際、セルヒオ・フランシスコ監督がそのチームを昨季終盤まで率いていたことから、右サイドバックのルペレス、センターバックのベイティア、左サイドバックのバルダ、中盤のゴティやミケル・ロドリゲスなど、複数選手のトップチーム昇格の可能性が推測されている。
現時点でセルヒオ・フランシスコ監督の戦術やシステムは未知数だが、昨季の3部リーグ・グループ1を第34節まで戦い、最少失点を誇ったことは、チームコンセプトを知る上で重要な要素かもしれない。
システムはアルグアシル前監督よりも豊富で、4-2-3-1、4-5-1、3-4-3、3-5-2と対戦相手や試合状況によって変化をつけていた。昨季と同じように臨機応変に戦うとすれば、久保は様々なポジションで起用される可能性もあるだろう。
プレシーズン開始まで1週間を切る中、補強状況に不安が残るものの、セルヒオ・フランシスコ監督に率いられる新生Rソシエダードがどのようなチームになるのかに注目しつつ、シーズン開幕を心待ちにしたい。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


