[ 2014年2月9日21時4分 ]2分6秒23で初優勝したオーストリアのマティアス・マイヤー(共同)<ソチ五輪:アルペン>◇9日◇男子滑降

 W杯優勝経験のない五輪初出場のマティアス・マイヤー(23=オーストリア)が、ミラー(米国)ら並み居るベテランを破った。

 11番出走で首位に躍り出たが、後続に今季W杯種目別ランキングで自分より上位の選手が7人もいた。強敵が滑り終えるたびにお立ち台での感情表現が大きくなり、優勝が分かると「選手としてできる最も驚異的なことをしでかしたと思う」と放心したような表情になった。

 179センチ、87キロと、スピード系の選手としては体格に恵まれた方ではない。父ヘルムートさんも1988年カルガリー五輪のスーパー大回転で銀メダルを獲得した。息子もこの種目で世界ジュニア選手権に準優勝し、W杯で昨季と今季に2位が1度ずつあり、昨年の世界選手権は5位だった。

 前回五輪でアルペン男子のメダルなしの屈辱を味わった母国に、9年越しの歓喜をもたらした。同国の名ダウンヒラー、ヘルマン・マイヤーがたどり着けなかった高みに立ち「人生で最高の気分だ」と誇らしげに笑みを広げた。