男子100メートルで蘇炳添(25=中国)が9秒99をマークして3位に入った。黄色人種では初めて10秒の壁を破る快走。一昨年に日本歴代2位の10秒01を出した桐生祥秀(19)を筆頭に、9秒台を目指してきた日本にも衝撃が走った。

 米国からの一報は、日本に悔しさと刺激をもたらした。日本陸連の原田康弘強化委員長(60)は蘇の9秒台を、アジア選手権(3~7日、中国・武漢)に出発する成田空港で聞くと「出てしまったか…。先手をとりたかった」と思わず唇をかんだ。今年に入り日本勢に好結果が続いていただけに、余計に口惜しそうだった。

 3月に桐生が米国での大会で9秒87を記録。追い風参考記録ながら、9秒台が現実味を帯びていた。

 先を越された雪辱は、直接対決で果たすしかない。舞台は8月、北京での世界選手権。「刺激になる。良い方向に考えていかないと。中国でそれ(9秒99)を破ってほしいね」と同委員長。桐生らの奮起を期待した。