陸上男子400メートル障害で3度の五輪に出場した為末大氏(38)が9日、リオデジャネイロ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダルのケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)のプロ転向報道に関して、持論を展開した。

 都内で行われたスポーツ施設「新豊洲 Brilliaランニングスタジアム」のオープニングイベントに出席。為末氏はプロ転向について「望ましいと思う。こういった選手が増えていってほしい」と述べた。自身の経験も踏まえながら陸上のプロは企業の雇用を外れて、スポンサーを立てていくことと説明した。「大事なのがセカンドキャリア。これから(20年東京五輪・パラリンピックに向けて)アスリートバブルが起きて、選手は手厚いサポートを受けると思う。その一方で、その後の人生で社会に適応できない人を山ほど見てきた。早い段階で社会にさらされて、どのように自分の価値を出せるのかということを考えることも重要だと思う」。

 ケンブリッジは年内に所属先を退社してプロになることを検討している。練習は母校の日大で行うが、今後は練習拠点を米国などの海外へ移す可能性がある。

 同施設には60メートルトラックや競技用義足の研究所などが併設されている。為末氏は館長を務め、陸上選手以外のスポーツ選手やパラアスリート、近隣住民らにも利用してもらい、スポーツを通じての共存社会を目指している。

 この日はリオデジャネイロ・パラリンピック陸上男子400メートルリレー(切断など)銅メダルの佐藤圭太や、同100メートル米国代表のジャリッド・ウォレスらも参加。初めて金メダルゼロに終わったリオ大会の話題になり、為末氏はドイツの事例を出して「強化だけで考えると、五輪とパラに違いはなく普通に強化している。同じ競技で同じトレーニングをしている。強化費の問題もあるが、日本も将来的にそうなっていけば良いのでは」と独自の見解を示した。