日本勢は決勝進出と同時に9秒台も今回は逃した。中でも、サニブラウンは9秒台を出せる力があった。世界選手権は記録よりも勝負重視の場だが、予選で10秒05。向かい風0・6メートルだった。気温も予選は20度、準決勝は19度とやや低めで、条件に恵まれなかった。

 日本人トップランナーは100メートルを47~49歩で駆け抜けるが、サニブラウンは約45歩と大きなストライドを誇る。好条件の中、スタートがスムーズに出た上で、中盤以降も普段通りの実力を発揮できれば、9秒台は出てもおかしくなかった。

 今季は絶好調だった桐生も5月のダイヤモンドリーグ上海大会でフライングによる失格。また3大会連続で向かい風に泣いた。今季初戦で10秒06と08を2本並べた山県もその後は、思わぬ右足首のけがで、好調を維持できなかった。

 サニブラウン、ケンブリッジ、多田の3人は世界選手権で準決勝に進出。これは日本初の快挙で、地力がアップしていることの証明でもある。自己ベスト10秒01の桐生が個人種目の出場を逃すほど、層は厚くなった。あとは条件次第。その時は確実に近づいている。【上田悠太】