陸上男子20キロ競歩世界記録保持者の鈴木雄介(30=富士通)が20分6秒49で5位だった。

 15年世界選手権で途中棄権して以降、恥骨炎のリハビリを続けていた。2年9カ月ぶりに実戦復帰して「とにかくきつかった。休んでいた体は重たく、我慢するしかないレースだった。不安と緊張が大きく、新しい世界に足を踏み入れた感覚だった」とすがすがしい表情で振り返った。

 恥骨炎は完治していないが「集中していたため違和感はなかった」とし、それ以上に負けたことに悔しさを覚えて「自分はまだアスリートとしての気持ちがあると思った。トレーニングして鍛え直さないといけない」と気合を入れた。

 日本陸上競技連盟の強化費約30万円を不適切に申請して、昨年10月から6カ月間、公式大会への出場資格停止処分を受けていた。「もう1度、この場に立てたことが幸せ。真摯(しんし)に競歩と向き合って、ゼロから代表を目指したい。もう、世界記録保持者の鈴木雄介はいない」。

 この日のゼッケンの番号は「290」。2年9カ月ぶりに実戦復帰したゼロスタートの鈴木を表したような数字だった。