スポーツ仲裁裁判所(CAS)は5月31日、2008年北京五輪の陸上男子400メートルリレーで優勝し、ドーピング再検査で失格となったネスタ・カーター選手(ジャマイカ)が、処分を不服として申し立てた訴えを棄却したと発表した。これにより、同種目で銅メダルを獲得した塚原直貴、末続慎吾、高平慎士、朝原宣治の4選手による日本が銀メダル、2位のトリニダード・トバゴが金メダルに繰り上がる見通し。

 カーター選手が今後、スイスの裁判所などにさらに上訴しなければ、ジャマイカのリレーメンバーだったスーパースター、ウサイン・ボルト選手らの金メダル剥奪も確定する。ロイター通信によると、北京五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで3大会連続で100メートル、200メートルと400メートルリレーの短距離3冠を達成し、既に引退したボルト選手は「ルールはルールだ。でもあの時の勝った喜びは永遠に続くだろう」とコメントした。この問題でボルト選手は昨年1月、処分が確定する前に金メダルを返還したと公表している。

 カーター選手は興奮作用のある禁止薬物のメチルヘキサンアミンに陽性反応を示し、昨年1月に国際オリンピック委員会(IOC)から失格処分を受けた。