15年世界選手権男子400メートルリレー代表の長田拓也(24=富士通)が追い風1・5メートルの条件下、10秒14で優勝した。

 自己記録を0秒05更新する大会新。序盤から「足が前に出て、押し出せた」と手応え十分だった。10秒30の6位だった日本選手権の鬱憤(うっぷん)を晴らすような快走。「自己ベストを狙っていました。出せてうれしい。1つ自信になった」と喜んだ。

 ここ2年は不振にあえいだ。上体が浮く悪癖の修正を意識し続けた。スタートでは、前に置きすぎていた重心をやや後ろに下げ、安定性を求めた。下り坂でダッシュを重ね、自然と体が進んでいく感覚を磨いた。日本選手権こそ「一番ミス」と悔やむが、悪癖を抑える感覚を「つかみかけている」と手応えをつかむ。

 もう1度、日の丸を背負う思いは強い。「代表を狙える位置まで戻ってこられた」。国際陸連は今年から世界ランキング制度を導入するし、19年世界選手権(ドーハ)などの参加基準となる。来季から海外のレースに参戦するためにも少しでも速い自己記録を持つ意味は大きい。9月の全日本実業団対抗選手権では「代表で走った人たちに勝ちにいけるようにしたい」と力を込める。まだ24歳。盛り上がる男子100メートルの波に、必死に付いていく。