来年1月2、3日の第95回東京箱根間往復大学駅伝が迫ってきた。日刊スポーツでは「箱根半端ないって」と題した連載を全5回掲載する。第1回は3冠を達成した指揮官たち。90年度大東大の青葉昌幸氏(76)00年度順大の沢木啓祐氏(75)10年度早大の渡辺康幸氏(45)の3人は、どんな指導哲学で時代を築いたのか? 今大会で史上初となる2度目の3冠を狙う青学大をどう見ているのか?【取材・構成=上田悠太】

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10年度に早大を3冠に導いた現住友電工監督の渡辺康幸氏は「エースはいらない」をテーマにチームを作った。3冠を達成した箱根も区間賞は1区大迫だけ。今の青学大のように層の厚い駅伝を追求していた。5区予定の佐々木、9区予定の志方をけがで欠く事態の中、偉業を成し遂げた。

渡辺氏は青学大の原監督のチームマネジメントを「神の領域」と驚く。「あれだけの部員がいれば、どの競技でも腐ったミカン(やる気をなくす選手)が出て、周りにマイナスの影響を及ぼす。でもそういう選手が出てこない」。それが強さの源と見る。3冠も「楽にしちゃうかな。層の厚さが抜けている」と話した。

◆青学大の今季2冠 10月8日の出雲全日本大学選抜駅伝は1区橋詰大慧(4年)が第1中継所まで残り約700メートルで先頭に立つと、チームは最後までトップを譲らず、2時間11分58秒で、2年ぶり4度目の優勝を飾り、まず1冠。11月4日の全日本大学駅伝は7区森田歩希が東海大を逆転すると、アンカー梶谷瑠哉(ともに4年)が差を広げ、5時間13分11秒で2年ぶり2度目の優勝。史上初となる2度目の3冠に王手をかけた。