女子の鈴木亜由子(27=JP日本郵政グループ)が、ハーフマラソン初挑戦で日本歴代3位1時間7分55秒を記録した。優勝したベッツィ・サイナ(ケニア)とマッチレースを展開。20キロ過ぎで離され2位だったが、福士加代子、野口みずきに次ぐ好タイムとなった。すでに出場権を得ている9月の「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」での東京切符に向け、底知れない潜在能力を見せつけた。

ピンと伸びた背筋がぶれない。鈴木は、3キロ過ぎからサイナと一騎打ちになった。5キロごとのラップは16分2秒、16分4秒、16分9秒、16分11秒。20キロ過ぎで離されたが、最後まで追いすがって6秒差の2位。1時間7分55秒は日本歴代3位。日本女子にとって13年ぶりの7分台を記録した。

「いいラップを刻めていた。タイムは意識していなくて、あ、7分台出たんだという感じだった。このタイムは予想してなかった」

底知れない潜在能力だ。1月の全国都道府県女子駅伝での逆転優勝から3週間。疲労や足の痛みがあって、練習は調整中心だった。高橋監督は「その場しのぎの調整で…。7分台はびっくり」と目を丸くした。

福士、野口に次ぐ好記録。昨夏の北海道マラソンに続いて、ハーフマラソンも初挑戦で快記録。やや背筋が曲がっていた姿勢が修正され、走りも大きくなった。レース前の集中力もアップ。高橋尚子らを見てきた高橋監督は「集中力は、五輪メダリスト級。最近はレース直前に話しかけるのがちょっと怖いぐらい…。今日も靴ひもが緩んでいたけど」と苦笑い。「気象条件に恵まれれば、2時間20分は間違いなく切れる」と口にした。

正月には地元愛知・豊橋市内の神社で「クイーンズ駅伝(全日本実業団対抗女子駅伝)優勝とMGC突破」を祈願して絵馬を奉納。9月の大一番までマラソンは走らないで調整する方向。「陸上界のレジェンド」に次ぐ好タイムを出した鈴木は「最後に離されて、悔しい。福士さん、野口さんはもっと強い選手だと思うので、近づきたい」と成長を誓った。【益田一弘】

 

◆鈴木亜由子◆ (すずき・あゆこ)1991年(平3)10月8日、愛知・豊橋市生まれ。小2で陸上を始める。時習館高-名古屋大-日本郵政グループ。昨年8月の北海道マラソンは2時間28分32秒で優勝。旧帝大出身女子として初の五輪出場となった16年リオデジャネイロ大会は5000メートルと1万メートルに出場。154センチ、39キロ。