ダイヤモンドリーグ唯一のアフリカ開催となる大会。

中・長距離種目をアフリカ勢が席巻しているのはダイヤモンドリーグも同じ。そのなかでも女子1500メートル世界記録保持者のゲンゼベ・ディババ(28=エチオピア)が、今大会ではアフリカ勢の顔とでもいうべき存在だ。中・長距離以外の種目では、男子走り幅跳びのルヴォ・マニョンガ(28=南アフリカ)が優勝候補に挙げられる。

日本からは戸辺直人(27=JAL)が男子走り高跳びにエントリーしている。

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ディババは15年に1500メートルで世界記録(3分50秒07)をマークし、同年の北京世界陸上では金メダルを獲得した。翌年のリオ五輪でも銀メダルだったが、会心の走りは北京世界陸上以降ない。

そのディババが今年6月6日のダイヤモンドリーグ・ローマ大会に3分56秒28の今季世界最高で優勝した。北京世界陸上がそうだったように、ロングスパートで後続との差をじわじわ広げて逃げ切った。このときのタイムは、世界記録を出した以降では自己最高記録である。

ディババの勝ちパターンはこのロングスパートしかない。どんなレースでも早めにスパートをかけ、逃げ切れば勝てるが逃げ切れないレースも多い。ダイヤモンドリーグ初戦のドーハ大会3000メートルでは、ロングスパートができずにラスト1周の勝負でヘレン・オビリ(29=ケニア)に競り負けた。

今大会ではグダフ・ツェガイ(22=エチオピア)、ジェニー・シンプソン(32=米国)らがライバルとなる。ディババがロングスパートで勝ちパターンに持ち込めれば圧勝できるだろう。

 

マニョンガは17年のロンドン世界陸上金メダリストで、昨年のダイヤモンドリーグ・チャンピオン。2年連続“世界一”のジャンパーだ。

5月30日のダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会は、9~10℃の低温にてこずりまさかの4位に終わったが、その後のオランダの大会では8メートル35のシーズンベストで優勝した。

ライバルはファン・ミゲル・エチャヴァリア(20=キューバ)で、昨年8メートル68の大ジャンプをした選手。自己記録では3センチ、マニョンガを上回る。

マニョンガとエチャアバリアが好調な状態で対決すれば、8メートル50以上のハイレベルの争いになる。

 

戸辺はローマ大会では2メートル15にとどまりまさかの11位に終わった。技術的な問題を修正できなかったが、その後の練習は順調に積めている。

2月に2メートル35の日本新、今季室内世界最高を跳んでいる戸辺。屋外の今季世界最高記録は、今大会にも出場するボーダン・ボンダレンコ(29=ウクライナ)ら5選手が跳んでいる2メートル31だ。戸辺にも優勝のチャンスはある。

 

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国ごとの出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。