日本陸連が男子10種競技の右代啓祐(33=国士舘ク)を世界選手権(27日開幕、ドーハ)代表に“誤選出”していたことが17日、分かった。16年リオデジャネイロ五輪の日本選手団旗手も務めた男は理事会の承認も受けて、世界選手権の代表に決定していたが、急転直下、代表を取り消される事態となった。

日本陸連関係者は「エントリーが認められていない」との事実を認め、麻場強化委員長が18日に会見し、詳細を説明するとした。

原因は日本陸連の選考要項に不備があったこと。アジア選手権の優勝者は、世界選手権の参加標準記録突破と同等扱いとなるように記されていた。日本陸連は選考要項に従い、アジア選手権と日本選手権を制した右代を代表に選んだ。

だが、国際陸連は混成種目、フィールド種目、1万メートルなど一部において、各地域王者については「選手のレベルに基づいて」資格の有無を判断すると定めていた。その部分が日本陸連の要項には欠如していた。この日までに、国際陸連から日本陸連に世界選手権で右代のエントリー漏れの通知が届き、事実が判明した。十種競技の出場枠は24。世界選手権参加標準記録は8200点。右代の今季ベスト7872点で世界48位だった。

この日、右代はツイッターで悲痛な胸中を記した。「こんな直前はあんまりです。この3ケ月、世界陸上の標準記録突破を目指すこともできました。みんなが結団式に参加している姿をSNSで見て本当に辛かった。もうチャンスが無いんです」「今は全く整理ができないですが、絶対に自分に負けない様に、腐らない様に走り続けます。ただ、二度とこんな事起きて欲しく無いです」(原文まま)。

日本陸連はこの日、世界選手権の結団式を開いたが、この事実は公表していなかった。

◆右代啓祐◆ うしろ・けいすけ。1986年(昭61)7月24日、北海道・江別市生まれ。札幌第一高3年で8種競技を始める。国士舘大、同大学院から11年にスズキ浜松ACを経て、現在は国士舘大で講師を務める。五輪には12年ロンドン大会に10種競技で日本人48年ぶり出場、16年リオ大会では開会式で日本選手団旗手。196センチ、95キロ