2時間17分59秒の29位と4度目の世界選手権で過去最低の順位に終わった川内優輝(32=あいおいニッセイ同和損保)はレース後、首を直角に落とした。

最初は気丈に敗因を説明していた声は、だんだん覇気を失っていった。「悔しいというか、どうしようもない。複雑な気持ち」「日の丸の舞台で過去最低の順位というのは…よくないですから」。前回大会で3秒差で入賞を逃し、競技に専念するため、公務員を辞めて、プロになった。そこまで覚悟を決めて、挑んだ舞台だっただけに、ショックを隠しきれなかった。

優勝タイムとは7分19秒差、目指していた入賞とも6分8秒差だった。

誤算は、この日のコンディションが想定より涼しく、湿度も低かったこと。気温29度、湿度は51%。先月27日の女子マラソンと比較すると、気温は3度、湿度は23%も低かった。想定していた高温多湿の環境とは言い難く、想像を上回るペースになった。川内は過酷な環境を想定し、タイムは出なくても、タフに粘れるように取り組んできた。刻んできたラップは、設定通りだったというが、周りが速かった。自身はペースアップに対応できる調整はできていなかった。

「想定通り走っただけ。湿度は低かったので、前が落ちてこなかった。作戦ミスとしか言いようがない」と説明した。

暑さが苦手で、その対処法を考えてきた。しかし、それが裏目に出た形。準備をしすぎる余り、想定外での環境に対応できなかった。「学びすぎたのが失敗だった」と敗者の弁を述べた。