東京五輪に期待の新星-。陸上男子800メートルで今年の日本選手権を制したクレイ・アーロン竜波(17)が25日、都内で、20年東京五輪で活躍が期待される「ダイヤモンドアスリート」の認定式に出席。米国人の父を持つ相洋高(神奈川)3年生は来秋、米テキサス農工大に進学する。「同アスリート」に認定され米留学する道のりは憧れの存在で3歳上のサニブラウンと同じ。伸び盛りの17歳には未知の可能性が広がる。

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ダイヤモンドアスリートの代表として登壇したクレイは、流ちょうな英語であいさつを締めた。米テキサス農工大に入学することを報告し、「No matter what happens,Never stop believing」。信じることを辞めるな-。そう決意表明をした。

同大は世界選手権男子800メートル金メダリストのドナヴァン・ブレイジャー(米国)も在籍する強豪だ。10月には現地の環境を視察し、「キャンパス内にもジムが8個ぐらい。競技場も2つ。室内競技場も1つ。施設は完璧でした」と笑顔。昨年の全米大学選手権のレベルを見て、大学は米国に進学を考え始めた。日本の強豪大学からも誘われたが、「アメリカはレベルが高く、中距離界も盛り上がっている」と決意を「高2の終わり」には固めていた。

日本の高校→米国の大学。その選択はサニブラウンとも同じ。どこの大学選びなどの相談もしていた。「憧れでもある存在。1人が成功を遂げている。その後にも続く人が出てくると思う」。サニブラウンの背中を見習い、世界のトップを追う。神奈川・藤沢市の自宅で、父とは英語で会話する。言葉の壁がないのは、環境になじむ上で大きい。学業面では「ビジネス学部」に興味があるという。

湘南の海が原点にある。小学校2年からライフセービングを習い、今もクラブに所属している。「泳いだり、砂浜を走ったりして、心肺機能が鍛えられ、足の接地にもつながったんじゃないかな」。中1から陸上を始めたが、「中3まではライフセービングを優先していた」という。家族全員が海が好きで、「竜波」の名前も海に由来する。

昔は夢物語で意識もしなかった東京五輪も、今は射程圏に捉える。6月の日本選手権は自己記録となる1分46秒59で、大学生、社会人を抑えて初優勝。そのタイムは東京五輪の参加標準記録まで1秒39だった。「東京オリンピックもだんだん視野にも入っている。出られるように練習を積み重ねていきたい」。来年9月の入学までは相洋高で練習する予定。五輪の経験を携えて、アメリカに飛び込んでいく。【上田悠太】