来月2~3日開催の第96回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の区間エントリー選手が29日、発表された。静岡県関係の19人が出場。名門復活を期す早大からは、浜松日体高出身の3選手がメンバー入りした。

中でも、3年連続で2区に起用される太田智樹主将(4年)が、闘志を燃やしている。前回大会は区間21位に終わり、チームもシード権獲得を逃した(総合12位)。自身最後の箱根で雪辱を果たしてみせる。

   ◇   ◇   ◇

太田智は、前回の箱根を「自分の結果が、チームの成績に大きく影響した。申し訳ない気持ちでいっぱい」と振り返った。昨年9月の練習中に右ひざを故障。約1カ月半後に復帰したが、痛みが完全に消えず、思うような練習ができなかったことが響いた。

大会後、駅伝チームの主将に就任。「強い早稲田を取り戻す」と決意した。結果でチームを引っ張る姿勢を示し、4月の記録会で5000メートルの大学時代の自己ベストを更新(13分58秒)。5月の関東インカレでは、1万メートルで29分1秒を記録。6位入賞を果たし、復活をアピールした。

10月の箱根予選会では、チームトップの全体16位と力走したが、早大は総合9位で辛くも予選突破。その結果に危機感を覚えたことを、ミーティングでチームに伝えた。「練習以外のところで怠けている。(生活面で)乱れている部分があった。チーム全体で目標の再確認をしました」。1週間後の全日本でチームは奮起。総合6位に入ったが、主将は「多少自信にはなったが、上位と比較するとまだ力不足」と、気を引き締めた。

昨年の同時期に比べ、状態は良いという。「練習も積めていて、心にも余裕があります」。チームの目標である総合3位以内に向け、気持ちも高ぶってきた。「任されたところをしっかりと走り、チームに貢献したい」。大黒柱としての走りを見せ、名門を優勝争いに導くつもりだ。【河合萌彦】

○…太田智の弟・太田直希(2年)は、2年続けて8区で起用される。前回は、1年生ながら出場も区間10位。箱根の厳しさを味わい「攻めのレースができなかった」と唇をかみしめた。以来、強い気持ちを養うことを意識して練習を積んできた。「キツい練習でも、そこから逃げないようにやってきました」。2度目の大舞台に向け「周りを奮い立たせるような走りをしたら、結果はついてくると思う」と力を込めた。

○…1年生の鈴木創士(そうし)が、7区に抜てきされた。予選会では、チーム3位の全体60位。全日本では6区で区間6位と力走した。大学レベルを肌で感じ「スピードが全然違う。そこを体験できたことが、収穫になった」と振り返った。箱根駅伝は過去に1度しか見たことがないというが、初めて挑む大舞台に向け「地元の人たちに、大学で成長したところを見てもらいたい」と訴えた。

◆太田智樹(おおた・ともき)1997年(平9)10月17日、浜松市生まれ。浜名中で陸上を始め、3年時に全国中学校体育大会3000メートル、ジュニア五輪3000メートル優勝。浜松日体高を経て、早大に入学。箱根駅伝には、1年から4年連続出場。18年大会では、2区で区間4位と好走した。175センチ、60キロ。家族は両親と姉、弟。父善之さんは、中大で箱根駅伝に出場した。