陸上女子やり投げの高校チャンピオンが新潟医療福祉大で大学日本一を目指している。木村玲奈(1年=滋賀・近江)で、昨年の全国高校総体(インターハイ)の覇者。新型コロナウイルス感染拡大の影響で大学での競技スタートは遅れたが、新環境で本格的な「スロー」を開始した。

木村の手元から離れたやりは、空気を裂きながらフィールドの芝生の上を飛んだ。「やりの飛ぶ角度と、力が同じ方向でない時がある。まだ、きれいにやりが飛ぶ確率は低い」と言うだけに進化の余地はたっぷり。3月末に入寮したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で滋賀県の実家に1度、戻った。再び大学で練習再開したのは5月末だった。「4年間で大学日本一。日本選手権で優勝したい」。新生活のスタートダッシュは遅れても、目標ラインはピタリ定める。

地肩の強さが持ち味だ。小学3年から金城スポーツ少年団で軟式野球を始め、投手兼任の強肩捕手として鳴らした。彦根中央中2年まで女子チームの滋賀マイティーエンジェルスに所属。野球で鍛えた強肩を生かして中学の陸上部ではやり投げの導入として開発された競技、「ジャベリックスロー」に取り組んだ。高校から始めたやり投げは2年で滋賀県記録の53メートル84をマーク。「60メートル台を出したい」と大台クリアも大学の目標だ。

もっとも木村は故障の古傷を抱えている。高校2年の近畿大会で優勝しながら、右肘の靱帯(じんたい)を損傷。優勝した昨年のインターハイも、ちょっぴり痛みを残しながら栄冠を獲得した。故障直後の2年時の同大会は1投して棄権。「右肘に負担のかからないフォームを探しながら練習している」と現在も違和感が残る古傷と向き合い、独自の投げ方を模索している。右肘の負担軽減のため、筋トレのほかロープ上り、鉄棒の懸垂で両腕を重点的に強化している。

新潟医療福祉大では理学療法学科に学び、理学療法士を目指す。中学2年時に左膝蓋(しつがい)骨を手術。「その時、理学療法士に助けてもらって、あこがれの職業になった」と言う。そんな将来像を持ちながら、やり投げでは目標に向かって突き進む。当面のターゲットは9月に新潟市で開催されるインカレ(11~13日=デンカS)。「今年は入賞できたら」と今から意気込んでいた。【涌井幹雄】

◆木村玲奈(きむら・れいな)2001年(平13)9月7日生まれ、滋賀県出身。滋賀・近江高卒。彦根中央中では4種競技(200メートル、100メートル障害、走り高跳び、砲丸投げ)も専門種目のひとつ。19年インターハイの優勝記録は52メートル84。159センチ、58キロ。血液型O。