陸上女子で今季1500メートルと3000メートルの日本記録を樹立した田中希実(20=豊田自動織機TC)が「21歳の誓い」を立てた。同志社大3年であることから、1日は京都市役所で「京都市スポーツ大賞」を受賞。21歳となる今月4日を前に、力強い口調で誓った。

「『二十歳の1年が一番良かった』と満足せず、21歳になっても『二十歳の1年』を超えたいです」

「二十歳の1年」は、その名を広く知らしめた。19年10月の世界選手権(ドーハ)5000メートルで15分0秒01を記録。日本歴代2位の好タイムで14位に入った。

20年になると、7月の「ホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会」3000メートルで、8分41秒35の日本記録を樹立。8月には「セイコー・ゴールデングランプリ」の1500メートルで4分5秒27をマークし、日本記録を14年ぶりに更新した。自ら「本当に充実した二十歳の年」と振り返りながらも、満足することはない。

「5000メートルで15分をまず切って、そこから日本記録を狙っていきたい気持ちが、より強くなりました」

5000メートルの日本記録は、福士加代子(ワコール)が05年にたたき出した14分53秒22。田中は10月の1500メートル、12月の5000メートルで日本選手権2冠を目標とし、5000メートルでは自身3種目目の日本記録を狙う。

「21歳の1年」を1歩ずつ進んだ先には、1年延期となっている東京五輪も見える。

「確かに『(成果を)発揮する場が欲しい』っていう気持ちはすごくありますし、発揮する場が大きければ大きいほど、ありがたいです。でも『発揮する場が欲しい』って思えるぐらいの実力を、ずっと持ち続けていることが、私にとってはしたいこと。力を落とさずに『いつ発揮する場がきてもいい』ぐらいの気持ちを持ち、これからもやっていきたいと思っています」

五輪の存在を必要以上に意識しない。「21歳の1年」も、田中の向上心はぶれない。【松本航】