イブラヒム愛紗(あいしゃ=札幌国際大4年)が56秒50で初優勝した。

序盤から積極的に前へ出て、後続を引き離した。最後の直線に入っても、リードを縮められず、危なげなく逃げ切った。9月の日本学生対校選手権決勝で出した自己記録を、1秒も更新。「57秒台前半」が目標だっただけに、56秒台は自分でも想定外の快走だった。

ガーナ人の父を持つ急成長中の22歳は「こんなタイム出ると思わなかった。すごくうれしい。緊張したのですけど、リラックスして走れました」と笑った。

神奈川・磯子高では全国大会と無縁。素質を評価され、複数の大学から誘いはあったが、競技は辞める決意をした。卒業後はアルバイトを3つ掛け持ち、語学学校への進学を目指していた。しかし、友人から「愛紗は陸上をやった方が良い」と言われ、競技への思いが再燃した。札幌国際大に入学後も、ジムでバイトしながら、勤務時間後に筋力トレーニングに励んだ。

身長173センチで、大きなストライドが魅力だ。「走力、ハードルの技術面を修正できたら、もうちょっとタイムが上がるかな」。東京五輪(オリンピック)の参加標準記録は55秒40と、さらに1秒以上縮める必要があるが、まだまだ伸びしろは詰まっていそうだ。【上田悠太】