日本記録保持者の郡菜々佳(25=新潟アルビレックスRC)が初優勝を飾った。

3投目に57メートル69を投げ、優勝を決めて迎えた最終6投目。「当たり前の動きを当たり前にできた」とスムーズに放った円盤は、58メートル70先に落下。自身が19年にたたき出した日本記録の59メートル03に迫る、大きな放物線。「うれしいのひと言です。長かったです。日本記録を出してからがしんどい時期が続いたので」と涙を浮かべた。

「どこか自分の記録ではないような感じがしてて」。世界選手権にも出場した3年前のことを振り返る。周囲の視線が変わったと感じた。日本記録保持者の肩書が、どんどん重荷になっていった。

転機があった。「社会人になるまで、どこが覚悟がなかった。どこかで逃げていた。覚悟を決めて、気持ちの面が大きいのかな」。崩れていた技術を見直し、気持ちも立て直してきた。「いろいろな所を修正していきました」。

長い3年間だったが、ついに日本一になった。58メートルは「当たり前に出る距離。まだまだいける」と自信がみなぎる。「60メートルは?」。大台を聞かれると、即座に言い切った。「射程圏内です!」。