関大の亀田仁一路(じんいちろう、4年)が優勝した。大会新記録の29分00秒61をマーク。「100回大会で記録を出すことを最低の状況において、自分のレースペースをつくっていて1着を狙った」

レース前に頭に浮かんだのは「勝つことはあとでついてきたらいい」という言葉だ。「大会記録を狙って、ジョグぐらいで走った。きつくなるより淡々と余裕のあるラストに。そこは戦略通り」。

狙い通りの勝利でも、胸中は「うれしいよりかは、安心してほっとした。まだうれしくない」。まだ喜ぶことではない、として、葛藤と闘い続けた。「(4月の日本学生)個人選手権で思うようなレースできず、後悔が残った。そして先週は、左脚の太ももの肉離れをしてしまった。(今回の)関西インカレを自信に変えるレースにしたかった」。

精神的にきつく、走るのも怖くなる日もあった。突然の故障に今大会前に棄権の2文字が頭によぎった。

「レース中もかなりしんどかった。全体応援が始まって、声出しの応援が思っている以上に力になった。きついところでも気を紛らわせられた」

仲間の応援を糧に、亀田は動き出す。「日本代表になりたい、という覚悟ができた。関西のレベルでは圧勝できる走りをして、来月の全日本大学駅伝の選考会でしっかりと関西トップを記録して、4年生として全日本大学駅伝と出雲駅伝にチームメートをつれていきたい」

野望をかなえるレースはまだ続く。「自分も日本代表になって。同世代の選手で、世界陸上で活躍してる選手もいるので、そういうところで戦いたい」【中島麗】