■8月後半の陸上競技展望■

 4年に一度の祭典であるオリンピックは終わったが、世界のトップ選手たちは休む間もなくダイヤモンドリーグを転戦する。8月後半はヨーロッパで4大会が開催され、金メダリストたちは賞金を獲得するため、あるいは自身のステータスをより確実なものにするために出場する。また、ロンドン五輪で敗れた選手たちにとっては雪辱の機会でもある。

 ダイヤモンドリーグでも主役はウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)だ。現時点ではローザンヌ大会とチューリッヒ大会への出場を表明している。両大会とも100メートル、200メートル両種目が行われるが、どちらの種目に出場するかは決まっていない。

 ロンドン五輪では100メートルは自己2番目の9秒63(五輪新)、200メートルは自己3番目の19秒32で五輪史上初の2大会連続2冠を達成した。ローザンヌ、チューリッヒとも過去に短距離種目で世界記録が誕生しているトラック。100メートルは9秒58、200メートルは19秒19の世界記録をボルト自身が持つが、その更新が期待される。

 ヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)にとっては“ボルト越え”のチャンス。6月末のジャマイカ選手権では2種目ともボルトを破ったがロンドン五輪ではともに銀メダル。ボルト同様ローザンヌ大会、チューリッヒ大会に出場するが、同じ種目を走れば2人の対決ががぜんヒートアップする。

 ボルトと並んで期待が高いのは、800メートルに1分40秒91の世界新でロンドン五輪に完勝したデイビッド・ルディシャ(23=ケニア)だ。特筆すべきはスタート直後に先頭に立ち、自身でペースを作って世界記録を更新したこと。チューリッヒ大会に出場するが、ダイヤモンドリーグでは400~500メートルまでペースメーカーが付く。世界記録を再度更新する可能性は十分ある。

 ロンドンで五輪新記録の5メートル97を跳んだ男子棒高跳びのルノー・ラビルニ(25=フランス)はローザンヌ大会とチューリッヒ大会と連戦。同じく五輪新の12秒35をマークした女子100メートル障害サリー・ピアソン(25=オーストラリア)はローザンヌ大会に出場する。

 また、ロンドン五輪男子5000メートルと1万メートルの2冠となり、地元の観衆を歓喜させたモー・ファラー(29=イギリス)は、バーミンガム大会の2マイル(3218メートル)に出場する。切れ味鋭いラストスパートで、再度イギリスの観衆を熱狂させそうだ。

 国内では中学日本一を決める全日本中学選手権が行われる。

 注目は女子走り幅跳びに出場する天城帆乃香(浜松天竜中3年)で、今季6メートル10の中学歴代4位を跳んでいる。100メートルも11秒95の今季中学1位記録で走るスピードが魅力で、日本記録保持者の井村久美子(31=iDEAR)の持つ6メートル19の中学記録更新が期待されている。【8月後半の主な陸上競技大会】8月17日:ダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会(スウェーデン)8月20日~8月22日:全日本中学選手権(千葉)8月23日:ダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会(スイス)8月26日:ダイヤモンドリーグ・バーミンガム大会(イギリス)8月30日:ダイヤモンドリーグ・チューリッヒ大会(スイス)