陸上のダイヤモンドリーグ第11戦のアスレティッシマ大会が8月23日、スイスのローザンヌで開催される。ロンドン五輪の男女100メートルを制したウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)とシェリー・アン・フレーザープライス(25=ジャマイカ)ら、個人種目の金メダリストが12人も出場する。

 ボルトが出場するのは100メートルではなく200メートル。ロンドン五輪銅メダルのウォーレン・ウィア(22=ジャマイカ)、現在ポイント争いトップのチュランディ・マルティナ(28=オランダ)らの挑戦を受けるが、今のボルトの敵にはならないだろう。

 ロンドンでは200メートル決勝は6本目のレースで、最後は「腰にちょっと痛みを感じた」ため力を抜いた。それでも自身3番目の19秒32の好タイムだった。

 ローザンヌは過去、短距離種目で多く新記録が出ている記録製造トラック。条件に恵まれればボルト自身が持つ19秒19の世界記録更新があるかもしれない。

 100メートルにはボルトと同じクラブの後輩のヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)が出場する。ロンドン五輪は100メートル、200メートルともボルトに次いで2位だったが、昨年のテグ世界陸上はボルトがフライング失格した100メートルを21歳で制した。

 ロンドン五輪4位のタイソン・ゲイ(30)、同5位のライアン・ベイリー(23)のアメリカ勢が強敵だ。世界歴代2位の9秒69を持つゲイは、故障による1年間のブランクから今年6月に復帰して五輪4位まで戻してきた。ベイリーは先週のストックホルム大会を制した若手有望株。ボルトが不在でも100メートルは楽しめそうだ。

 女子100メートルもフレーザープライスが簡単に勝てるメンバーではない。銀メダルのカルメリタ・ジーター(32=アメリカ)、銅メダルのベロニカ・キャンベルブラウン(30=ジャマイカ)とロンドン五輪のメダリストが3人揃った。

 フレーザープライスは五輪など大舞台で力を発揮する選手。それ以外の試合では、他の選手との差は小さくなる。五輪と同じようにスタートはフレーザープライスがリードしそうだが、後半でジーターとキャンベルブラウンが猛追する展開になる。

 記録的に期待できるのは男子110メートル障害のアリエス・メリット(27=アメリカ)と女子400メートル障害のナタリア・アントユフ(31=ロシア)。

 メリットは6~7月に12秒93を3試合連続でマークし、ロンドン五輪優勝時は向かい風のなかで12秒92だった。12秒87の世界記録も十分に狙える。

 アントユフはロンドン五輪で52秒70の世界歴代6位で優勝した。世界記録は52秒34。この種目の0・36秒はそれほど大きな差ではない。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。