<全国高校バスケット選抜優勝大会:山形商79-63金沢総合>◇女子準々決勝◇26日◇東京体育館

 山形商(山形)が、女子の公立校では36年ぶりとなる3年連続4強を成し遂げた。金沢総合(神奈川)に勝利。佐藤綾香主将(3年)がチーム最多の23得点と活躍し、自身3度目のメーンコートをつかんだ。

 息詰まる熱戦の流れを変えたのは、やはりキャプテンだった。第2クオーター(Q)まで6得点と抑え込まれた佐藤。身長175センチだが、180センチの相手1年生センターに、このままやられて終わる佐藤ではなかった。

 「行くぞー!」。わずか3点リードで迎えた第4Q前、佐藤の声がコートに響く。「絶対、メーンコートに行く」という強烈な思いがプレーに表れ、開始から連続10得点で、相手にダメージを与えた。中でも佐藤は、後半2Qで17得点。4強を決めた瞬間、誰もが涙した。

 「3年連続4強の最後のチャンス。こんなこと、おれが死ぬまでないよ」。試合前、高橋仁監督(52)はそう声を掛け、コートに選手を送り出した。それに選手が奮起。武田灯(3年)は「先生の思いに応えたかった」と鋭いドライブから18得点をたたき出した。

 前半は苦しんだ佐藤も、準決勝以上が戦えるメーンコートのため、必死に耐えた。「(昨年の主将)大沼美咲さんのように、プレーでは引っ張れない」と声でチームを鼓舞。大会直前の故障でベンチを外れた細谷映理菜(3年)を思い、試合前の円陣後には必ず、細谷の方を向き「行ってくるよ」と目でサインを送るという。

 高橋監督は「公立校で3年連続4強なんて信じられない」と満面に笑みを浮かべた。27日の準決勝の相手は、総体2位で今大会連続2位の東京成徳大高。佐藤は「当たって砕けろ、の気持ちでやります」と気合十分。2年連続で阻まれている4強の壁を破った時、初の決勝舞台が待っている。【三須一紀】