北京五輪が終わった。終わってみればあっという間の17日間、今回も雪と氷の熱戦は楽しめた。閉会式では、ミラノ市長とコルティナ・ダンペッツォ市長が五輪旗を受け取った。その両市から旗を引き継ぐ30年冬季五輪の招致を進めているのが札幌市。実現すれば、72年大会以来になる。

以前は開催都市は原則的に7年前に決まったが、19年にIOCは五輪憲章からこの規定を削除。昨年にはブリスベンが32年夏季五輪開催地に決まった。30年冬季五輪開催地も、今年中に内定する見込み。バンクーバーなどライバル都市が住民の反対などで立候補を取りやめる意向とも言われており、札幌は最有力だ。

もちろん、札幌開催反対の声は小さくない。世論調査でも賛成と反対は拮抗(きっこう)している。札幌市は昨年、開催経費を2800億~3000億円まで縮小したことを発表した。税金は投入しないという。それでも、東京五輪でも物議をかもした経費面だけに不安は残る。何よりも、札幌で開催する意味が見えてこない。

高度経済成長期、人口100万人を超えた72年は「新しい街を作る」大義があった。「虹と雪のバラード」で「町ができる 美しい町が」と歌われた通り、地下鉄が通って街が大きく変わった。新幹線や首都高ができた64年東京五輪と同じ。しかし、街として成熟した今は事情が異なる。

そんな状況で行われた北京五輪。高木美帆やロコ・ソラーレら北海道勢など日本選手が活躍した。20日の日本選手団総括会見で伊東秀仁団長は「(札幌五輪招致の)機運は高まるかなと思う」と話した。12年ロンドン五輪と同じ。過去最多のメダルを獲得し、銀座のメダリストパレードには50万人。これが翌13年の開催決定の追い風になった。

開幕前、新型コロナもあって開催反対や延期を求める声が多かった東京五輪だが、開催すれば日本選手が大活躍。大会後の世論調査では「やってよかった」が過半数を占めた。ただ、無観客もあって「東京開催」の熱はなかった。日本選手の活躍だけで大会を評価するのは少し的外れ。「なぜ東京」の疑問は残る。

札幌市は3月に住民意向調査を行い、招致活動の参考にする。ただ、この結果で招致そのものが変わることはないという。何のための調査なのだろう。今大会で確かに五輪ムードは高まっただろうが、8年後に突きつけられる現実は別物と思っていい。民主主義国家の日本らしく、市民の声を反映した札幌五輪であってほしい。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム 「OGGIのOh! Olympic」)

閉会式で打ち上げられた花火。中には「ONE FAMILY」の文字の花火も(ロイター)
閉会式で打ち上げられた花火。中には「ONE FAMILY」の文字の花火も(ロイター)