「同い年なんで、負けないように頑張りたいですね」。24日まで千葉で行われたXゲームで、東京五輪スケートボード代表の白井空良が言った。会場はZOZOマリンスタジアム。2週連続快投を演じた千葉ロッテの佐々木朗希について、同じ20歳の白井の言葉だ。

今大会では、20歳が大活躍した。ステージで技を競うBMXフラットランドでは早川起生が初優勝。スケートボード女子パークは東京五輪金メダルの四十住さくらが優勝し、男子ストリートでは白井が銅メダル。BMXパーク東京五輪代表の中村輪夢も6位に入った。

いずれも、2001年度生まれの「同級生」。Xゲームだけではない。24日に体操の全日本個人総合選手権で2連覇を達成した東京五輪金メダルの橋本大輝も20歳、みな「朗希世代」というわけだ。

東京五輪では、この世代が飛び出した。バタフライで競泳男子唯一のメダルを獲得した本田灯、陸上男子3000メートル障害決勝進出の三浦龍司、男子バレーボールの高橋藍…。W杯でも期待されるサッカーの久保建英もだ。

プロ野球では、すでに20歳が活躍している。ヤクルト奥川恭伸、オリックス宮城大弥、広島の玉村昇悟…。大学勢にも同年代に有望な選手が多いという。「朗希世代」という言葉も、普通に見かけるようになった。

今までスポーツ界を引っ張ってきたのは「大谷世代」だった。エンゼルスの大谷翔平、カブスの鈴木誠也ら野球界だけではなく、フィギュアスケートの羽生結弦、競泳の萩野公介、瀬戸大也、スピードスケートの高木美帆…。94年度生まれが五輪でも活躍してきた。

野球の「松坂世代(80年度生まれ)」やサッカーの「黄金世代(79年度生まれ)」など輝く世代はあるが「大谷世代」が特別なのは、異なる競技にまたがって活躍していること。最近の「世代」の特徴でもある。

SNSの発達で、人はつながりやすくなった。テレビ出演やイベントなどで、異なる競技の選手との出会いも増えた。かつては「他競技の選手と付き合うな」と本気でいう指導者もいたが、今はプラスになるのが常識。「異競技交流」で、共通の話題になるのが「同世代」というわけだ。

トレーニング方法から体調管理、精神面など他競技からの学びは多い。同世代の活躍はモチベーションも高める。冒頭の「負けないように」の白井に「どの口が言う」と突っ込んだ親友の中村も「知っている同い年の仲間なら応援するし、刺激にもなる」と話した。

20歳はまだまだ成長途上。野球やアクションスポーツだけでなく、今後も「朗希世代」のトップアスリートが出てくるはずだ。横のつながりが強くなれば、互いの切磋琢磨でさらなる成長が期待できる。大谷や羽生のように圧倒的な力を持つ「アイコン」がいれば、その成長に勢いもつく。

「大谷・羽生世代」に続く「朗希世代」が、24年パリ五輪や28年ロス五輪で活躍する可能性は十分。01年度生まれ組に注目してスポーツを見るのも楽しい。【荻島弘一】

(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)

男子スケートボードストリート決勝で演技する白井(2022年4月24日撮影)
男子スケートボードストリート決勝で演技する白井(2022年4月24日撮影)
男子スケートボードストリート決勝で2本目の演技を終え、白井(右)にハグで迎えられる堀米(2022年4月24日撮影)
男子スケートボードストリート決勝で2本目の演技を終え、白井(右)にハグで迎えられる堀米(2022年4月24日撮影)
男子スケートボードストリート決勝で2本目の演技を終え、白井(右)と談笑する堀米(2022年4月24日撮影)
男子スケートボードストリート決勝で2本目の演技を終え、白井(右)と談笑する堀米(2022年4月24日撮影)