窪木一茂(33=日本競輪選手会)が、男子4キロ個人追い抜きで4分13秒297の日本新記録で優勝した。同種目での優勝は3年ぶり5度目。今大会は団体種目も含め4冠を飾り、10月の世界選手権(フランス)へ弾みをつけた。

中距離界をけん引してきた功労者が、全日本で輝きを取り戻した。窪木は予選で日本新をマーク。決勝では、前日本記録保持者の今村駿介に8秒近くの差をつけて予選のタイムをさらに更新し、3年ぶりの優勝を決めた。今大会4冠目。中距離、いや男子エリート最年長の王者は「4分10秒を切るのが目標だった」と苦笑いしながら「成長できていることを感じた。素直にうれしい」と、ほおを緩めた。

リオ五輪を知るトラックレーサーも今や窪木ひとり。それでも、進化を続けている。20年春。コロナ禍で海外遠征もままならない状況に日本競輪選手養成所入りを決め、競輪ならではのダッシュ力を磨いてきた。「養成所入りは明らかにプラスでした。スピードに自信が持てた。(落ちた)持久力も1年かけて戻そうと思っていたので、ちょうど今くらいですね」と胸を張った。

パリ五輪への戦略として、日本チームは団体種目での五輪出場を目指す方針が固まった。今大会、団体2種目とも日本一に貢献。「後輩たちが伸びてきた? 全然、負けないです」と窪木。五輪代表の座は自分の力で奪い返す。【山本幸史】