全国高校バスケットボール選抜優勝大会が23日、東京体育館で開幕する。3年ぶり12度目出場の女子・常葉学園(静岡)は、午後3時から宇都宮文星女(栃木)と対戦。2回戦敗退の全国総体時には疲労骨折で離脱していた石川優季美(2年)が初の全国大会に挑む。1年の造酒(みき)綾香も選抜県予選からレギュラーを奪取。戦力を増したチームは、02年以来2度目の優勝を目指す。

 常葉学園の頂点への道のりは険しいものとなった。初戦の宇都宮文星女に対し小前宏史監督(51)は「五分五分」と気を引き締める。さらに、2回戦の山形商にはWリーグ入りする選手が2人おり、山口国体で準優勝した山形県選抜の中心となったチームだ。それでも「理由にしてはいけないのだろうが、インターハイでは石川がいなかった」と語った。ベストメンバーではなかった夏に比べ、手応えは大きい。

 県総体を制した直後の6月初め、石川の右足小指に痛みが走った。疲労骨折。東海総体を欠場し7月28日からの全国大会に合わせ調整を進めた。回復したと思った大会直前になって痛みが再発。結局、コートに立つことはなかった。石川は「チームに迷惑を掛けて申し訳なかった。少しでも支えになれば、と声を出して見ていた」と振り返る。2回戦敗退に、他の選手と違った悔しさがあった。

 8月末に復帰してからは順調に練習を積んだ。選抜県予選決勝の静岡女子戦では、161センチながらオフェンスリバウンドなどで気迫あふれるプレーを見せた。シュートも「いいところで決めてくれる」と、指揮官の信頼は厚い。仲間より5カ月遅れで踏む全国の舞台。「緊張するかもしれないけど、やるべきことを全力でやりたいと思います」。平常心、ひたむきさを込めたチームのモットー「清らかな心で」を1戦1戦体現していく。【石原正二郎】