昨年ソロFR決勝で優勝した日本のエース乾友紀子
昨年ソロFR決勝で優勝した日本のエース乾友紀子

 シンクロナイズドスイミングのジャパンオープンが28日、東京辰巳国際水泳場で開催される。7月の世界選手権ハンガリー大会に向けて、8年ぶりのメダルを獲得した昨夏のリオデジャネイロ五輪から12人中6人のメンバーが入れ替わった。「国際水泳連盟(FINA)ワールドシリーズ」になった今大会。新生マーメイドジャパンが、世界中から集結した19カ国を相手に日本の技術を見せつける。

世界にインパクト残す

ワールドシリーズ第1戦のフランス大会で活躍した日本代表の14人
ワールドシリーズ第1戦のフランス大会で活躍した日本代表の14人

 第93回日本選手権を兼ねたジャパンオープンがいよいよ開幕する。全7大会で行われる「FINAワールドシリーズ」の第3戦にあたる。種目はソロ、デュエット、混合デュエット、チーム、フリーコンビネーションの5つ。試合形式は五輪と同じで、テクニカルルーティン(TR)とフリールーティン(FR)の合計200点満点で争われる。今大会の金メダル数は5つだ。

 新生日本代表は、昨秋のアジア選手権から始動。今大会は世界選手権を見据えて本格的にスタートを切る。相手は米国、カナダ、スペイン、フランス、メキシコなど過去最多19カ国だ。

 チームのメンバーは、リオ五輪から半数が入れ替わった。井村ヘッドコーチは、まず立ち泳ぎなど基礎的な部分の底上げに時間を割いてきた。「まず体を鍛えています。確かな技術、という部分に重点を置いている」と説明している。

 3年後の東京五輪を見据えて着実に歩を進めていく。「世界で認められる演技をしていく。確かな技術を持つ日本。そのインパクトを残すことが世界選手権、東京五輪につながる」と井村ヘッドコーチ。リオでつかんだ涙の銅メダルから8カ月、新しい戦いが始まる。

デュエットは乾、中村、中牧の異例“3人使い”

厳しく指導する井村雅代ヘッドコーチ
厳しく指導する井村雅代ヘッドコーチ

 デュエットではエース乾を軸に、TRで技術力が高い中村、FRで大きな演技が持ち味の中牧を起用する。乾のパートナーを替える異例のターンオーバー制は「3人目もいて日本は強い」(井村HC)という印象を世界にアピールすることが目的だ。エース乾は「TRはエレメンツ(要素)、技術を見せるように、FRは同調も大事ですが、私が持っているフィーリング、勢いをなくさないように」と口にしている。

【競技方法】

 泳者が1人の「ソロ」、2人の「デュエット」と「混合デュエット(MD)」、4~8人の「チーム」、8~10人の「フリーコンビネーション(FC)」の5種目で争う。MDは2015年の世界選手権からの新種目。FCはソロ、デュエット、トリオ、グループを自由に組み合わせて演技し、3人未満のパートと8~10人のパートを各最低2回泳ぐ。

 プログラムのうち、「テクニカルルーティン」は、音楽に合わせて決められた規定要素を取り入れて行う。また、「フリールーティン」は音楽に合わせて自由に演技する。なお、FCはフリーのみで争われる。

前回大会から

 前回大会は4月29~5月1日、東京辰巳国際水泳場で行われ、ソロ、チーム、デュエットで、リオデジャネイロ五輪日本代表が、いずれもオープンの部優勝を飾った。

 8月の同五輪でチームでは3大会ぶり、デュエットでは2大会ぶりのメダル獲得を果たした日本代表。その壮行試合でデュエットの乾友紀子(井村シンクロク)三井梨紗子(東京シンクロク)組が、184・5957の高得点をマークした。2位には同五輪で7位となったカナダのカリーヌ・トーマス(26)ジャクリーヌ・シモノー(19)組が、7・1898差で入った。チームは足技に乱れはあったものの、力強い演技で圧勝。ソロも乾が力の差を見せた。

 同年から日本代表が対象外の日本選手権の部は、ソロで田崎明日花(井村シンクロク)、デュエットでアクラブ調布の河野みなみ、大沢友里子組、チームは井村シンクロクAが1位となった。

 30日にはフリーコンビネーション決勝も行われ、井村シンクロクラブA(大阪)が優勝した。なお、同種目に日本代表は出場しなかった。

4月28日からシンクロジャパンオープン2017

日本代表デュエットの3人。左から中村麻衣、乾友紀子、中牧佳南
日本代表デュエットの3人。左から中村麻衣、乾友紀子、中牧佳南

 シンクロナイズドスイミングの「第93回日本選手権兼ジャパンオープン2017」が4月28~30日、東京辰巳国際水泳場で行われる。15年世界選手権、16年リオ五輪で連続メダルに輝いた日本代表が、7月のハンガリー世界選手権壮行試合で20年東京五輪も見据えた演技を披露する。今年から「国際水泳連盟(FINA)ワールドシリーズ」としても行われる大会には史上最多21カ国が出場予定で、新生・日本が世界の強豪を迎え撃つ。

デュエットは乾に中村、中牧の3人態勢

プールサイドから指導するシンクロ日本代表の井村雅代ヘッドコーチ
プールサイドから指導するシンクロ日本代表の井村雅代ヘッドコーチ

 五輪明け1年目は世界中で選手の引退や入れ替わりがあり、「非常に大きく動く年。各国で探り合いになる」と日本代表・井村雅代ヘッドコーチ(HC、66)は警戒する。7月の世界選手権日本代表は12人中6人が新顔。「半分が新しい選手になったが、日本の技術力が優れていることを世界に示す。ジャパンオープンにはたくさんの国、ジャッジも来るので、大きなインパクトを与えることによって世界選手権、2020年につなげる」と井村HCは意気込む。

 注目はやはり、エース乾友紀子(26)とのコンビで連続銅メダルを獲得した三井梨紗子(23)が引退したデュエット。昨年11月のアジア選手権では、乾がテクニカルルーティンは中村麻衣(28)、フリールーティンは中牧佳南(24)と組んだが、今大会でもこの3人態勢で臨む。井村HCは「アジア選手権まで時間の短い中、私の想像以上に立派な泳ぎをした」と中村の技術力、中牧の体の大きさを評価、「世界選手権まで3人使いでいく。迷っていると思われるのではなく、次が控えているというプラスの部分を狙う」という。

 こうした状況にあって、乾にかかる期待は、なお一層大きくなる。井村HCは「中村、中牧は乾に合わすことによって成長する。今の私の課題は乾を止めないこと。まだまだ上にやることによって全体が上がると思う」とエースにさらなる成長を課す。これに対する乾も前向きで「中村選手とのテクニカルルーティンはエレメンツ(要素)が大事なので、技術力を意識している。中牧選手とは私が持っているフィーリング、勢いを無くさないようにしている」と日々の厳しい練習に臨んでいる。

7月世界選手権の前哨戦
2月15日に練習を公開したシンクロ日本代表
2月15日に練習を公開したシンクロ日本代表

 チームのまとめ役だった中村は、デュエットへの起用に「最初は本当に私でいいのかと思った」と本音を吐露した。しかし、今は楽しんで同種目に打ち込む。そして、「自分の良いものを無くさずに付いていきたい。展開の早い動きなので曲に追われるが、もっと余裕を持って泳ぎたい」と成長を誓った。また、中牧も「自信を持った演技ができるよう、1日1日しっかり練習する」と約束した。

 新生日本代表の鍵を握るとも言っていいデュエット。本大会にはリオ五輪銀メダルに輝く中国から現トップペアが出場を予定している。まさに、世界選手権の前哨戦ともなりそうで、乾、中村、中牧の活躍に注目せずにはいられない。

FINA第3戦 ワールドシリーズ

大会ロゴ

 本大会は今年から全7戦開催予定の「国際水泳連盟(FINA)シンクロナイズドスイミング・ワールドシリーズ」第3戦として行われる。第1戦は3月10~12日のパリ(フランス)、第2戦は4月22~24日の太原(中国)で、第4戦=5月2~7日・トロント(カナダ)、第5戦=5月25~28日・ラスパルマス(スペイン)、第6戦=6月22~24日・ロングアイランド(米国)、第7戦=9月21~24日・タシケント(ウズベキスタン)と続く。東京五輪を控える日本には重要なシリーズと位置づけられる。

混合が正式種目

 本大会では混合デュエットが正式種目として行われる。出場するのは15年・17年世界選手権日本代表の足立夢実(28)安部篤史(34)組。15年の本大会はデュエット競技へのオープン参加だったが、今年は自分たちの種目ができて、意気込みが違う。足立は「正式種目となる第1回なので、世界につながるような良い演技をする」、安部は「前回の世界選手権で他の国の選手から『日本はリフトがすごい』と言ってもらったので、それを突き詰めて表現していきたい」とやる気十分だ。

ヤクルトが味方

ヤクルトを味方に日々の練習に励む乾友紀子(中央)ら日本代表デュエットの3人
ヤクルトを味方に日々の練習に励む乾友紀子(中央)ら日本代表デュエットの3人

 ヤクルト本社提供の乳製品は、今年もシンクロ日本代表の強い味方だ。生きて腸内に到達し、腸内環境を改善する乳酸菌シロタ株を1本(65ミリリットル)あたり200億個含んだヤクルト。また、シロタ株に加え、1本(125ミリリットル)にカルシウム220mgなどが入った「のむヨーグルト」ジョア。エース乾は「おいしくて体にも良いのでありがたい」と言う。大会前の体調管理には欠かせない。

【観戦ガイド】

◆日  程
4月28日(金)=開会式、ソロ・チーム各TR、ソロFR
4月29日(土・祝)=混合デュエットTR・FR、デュエットTR、フリーコンビネーション
4月30日(日)=チーム・デュエット各FR
28・29日午前10時30分開始、30日午前9時30分開始
※注=TRはテクニカルルーティン、FRはフリールーティン
◆会  場
東京辰巳国際水泳場(東京メトロ辰巳駅)
◆料  金
3日間通し指定席=1万5000円(ぴあ限定)
指定席SS=5000円
同S=4000円
自由席2000円
◆前売り所
チケットぴあ=http://t.pia.jp/ 電話 0570・02・9999
ローソンチケット=http://l-tike.com/
イープラス=http://eplus.jp
◆問い合わせ
日刊スポーツ内大会事務局=電話 03・3547・0900
◆関係団体
<主催>日本水泳連盟
<主管>公益財団法人東京都水泳協会
<後援>日刊スポーツ新聞社、一般財団法人上月財団
<特別協賛>シンクロ日本代表オフィシャルパートナー=株式会社ヤクルト本社
<協賛>・水泳日本代表オフィシャルパートナー=GMOクリック証券株式会社
・水泳日本代表オフィシャルスポンサー=味の素株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、日本製粉株式会社、株式会社レオパレス21
・シンクロ日本代表オフィシャルスポンサー=株式会社コーセー、日本航空株式会社、ファイテン株式会社
・日本水泳連盟公式時計パートナー=セイコーホールディングス株式会社
・日本水泳連盟オフィシャルサプライヤー=株式会社デサント、アシックスジャパン株式会社、ミズノ株式会社
・大会スポンサー=株式会社オーエンス、タキロンマテックス株式会社、バカラ パシフィック株式会社、ヤマハ発動機株式会社
・専任旅行代理店=京王観光株式会社
<協力>スポーツアカデミー、鈴乃屋
◆公式ページ
>>日本水泳連盟シンクロページ