<全国高校総体:男子バスケットボール>◇3日◇大分・べっぷアリーナ

 8年連続出場の藤枝明誠(静岡)が94-105で京北(東京)に惜敗し、県勢男子初の全国優勝を逃した。2点差で始まった第3クオーター(Q)に5連続得点でリードを許すと、最後まで流れを引き戻せずに敗れた。それでも、県勢として69年の浜松商以来、44年ぶりに銀メダルを獲得。昨年12月の監督交代で崩壊寸前だったチームが、大舞台で快挙を成し遂げた。

 県勢初の全国優勝まであと1歩及ばなかった。藤枝明誠は第2Qを終えて2点を追う展開。関東2位の相手に対し、互角に戦った。しかし、第3Q途中でミスから5連続得点を許し10点差をつけられると、最終Qも相手の勢いを止めることができず、試合終了のブザーが響く。試合後はコート中央で喜びを爆発させる相手を、ベンチから見つめることしかできなかった。

 伊藤大和主将(3年)は「集中力が足りなかった。ここまできたからには優勝したかった」。今大会は優勝候補の市立船橋(千葉)や福岡大大濠(福岡)を破る快進撃で決勝に進出。この日も第1Q序盤でいきなり伊藤が3点シュートを決めて勢いをつけたが、1度逆転されると、徐々にペースを握られた。ミスが絡んで得点を与え、チャンスでも決めきれない。大会期間中に右足首を捻挫した中沢琢己(3年)はテーピングを施して強行出場したが「やるべきことができなかった。後半に足が止まった」とうつむいた。

 チームは昨年12月に監督が交代した。西塚建雄前監督が退任し、三上淳監督(49)が指揮を執った。選手は突然の監督交代劇に動揺した。伊藤は「反発があった」と、約1カ月間練習を全く行わなかったという。2月の新人戦が始まる1週間前に練習を再開すると「全員でやると決めた以上は必死だった」と立て直した。

 チーム崩壊の危機を乗り越えてつかんだ準優勝だ。三上監督は「立派な成績。1戦1戦よくなっていたし、最後まであきらめなかった」と、ベンチでうなだれる選手1人1人をねぎらった。12月には高校生活最後のウインター杯が控えている。伊藤は「またこの舞台に立って、次は優勝したい」と言った。総体で得た自信と悔しさを糧に、藤枝明誠は一回り成長して帰ってくる。【神谷亮磨】