<全国高校総体:女子サッカー・作陽1-1(PK6-5)藤枝順心>◇1回戦◇5日◇佐賀県総合運動場

 昨年3位の藤枝順心(静岡)がPK戦の末、初出場の作陽(岡山)に惜敗した。前半にカウンターから先制点を献上。後半9分にU-16日本代表候補FW児野楓香(1年)の強烈ミドルで同点としたが、最後まで追加点を奪えなかった。主力にけが人が続出するなど、万全ではなかったチームは本来のパスサッカーを見せることができず、初戦敗退となった。

 明らかに普段の藤枝順心ではなかった。前半からボールを支配していたが、敵陣での攻撃が単調となり、ブロックを固める相手を崩せなかった。前半18分、1本のロングボールでDFラインの裏を突かれ、先制点を献上。DF奥川千沙主将(3年)は「パスミスが多かったし、自分たちでゲームを崩してしまった」。無得点のまま前半を終え、徐々に焦りも出てきた。

 それでも、後半9分にFW児野の豪快ミドルで同点。早い時間に試合を振りだしに戻したものの、勝負を決める1点が遠かった。多々良和之監督(48)は「PK練習をやっていなかったので厳しいかなと。1回戦敗退は情けないですね」と唇をかんだ。

 主力のケガが響いた。MF杉田妃和(ひな=2年)とFW児野が大会前に負傷。ともに年代別代表候補に選ばれている逸材でチームには欠かせない。杉田は試合直前まで別メニュー調整。2人とも万全ではない状況で強行出場したが、本来の仕事ができなかった。同点ゴールの児野は「もっと決めないといけない」と肩を落とした。

 同校の妹分でもあるジュニアユースは3日に決勝が行われた全日本ユース(U-15)選手権で初優勝していた。杉田は「私たちも絶対優勝しなければいけない」と意気込んで臨んだが、まさかの初戦敗退。DF奥川は「勝ちきる力をつけていかなければいけない」。4強入りは確実と思われていただけに、あまりにも短すぎる夏だった。【神谷亮磨】