<全国高校総体:サッカー>◇5日◇福岡フットボールセンター

 男子サッカーは準々決勝4試合を行い、5年ぶり2度目出場の正智深谷(埼玉)が、星稜(石川)を5ー1で下し、初の4強入りを決めた。ナイジェリア人の父と、日本人の母を持つFWオナイウ阿道(3年)が、2得点2アシストの大活躍。前半22分には打点の高いヘディングで先制点、3ー1で迎えた後半18分にはドリブルで3人をかわして4点目を決めるなど存在感が光った。

 FWオナイウがエースにふさわしい活躍をみせた。序盤から星稜に主導権を握られていたが、流れを変えた。前半22分、MF岡部拓実(3年)の右FKに合わせてオナイウがゴール左で跳び上がった。最高到達点でボールを捉えることはできなかった。だが、競り合っていた相手DFが着地しても、オナイウはまだ空中にいた。思い切り首を伸ばして頭で合わせると、ボールは緩やかな孤を描いてゴール右に吸い込まれた。

 この先制ゴールで相手の度肝を抜いて流れを引き寄せた。圧巻は1点を返された直後の後半18分のゴール。「悪い雰囲気を払拭(ふっしょく)したかった。シュートで終わろうと思っていた」。ボールを持ったオナイウが約30メートルを駆け抜けた。相手DFの1人目と2人目をドリブルでかわすと、3人目は、また抜きで置いてきぼりに。最後は豪快にゴール左に蹴り込んだ。4点目を決めて勝利を決定づけた。

 ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。高い身体能力と決定力でチーム初の4強入りをけん引した。プロ志望で「ボールを持ったなら何かやってくれると期待される選手になりたい」と話す。小島時和監督は「今日はエースぶりを発揮してくれた。この大会で活躍することでプロになる目標も現実になるだろう」と話した。絶対的エースを擁す正智深谷が旋風を巻き起こしそうだ。