<柔道:グランドスラム東京2011>◇初日◇9日◇東京体育館◇女子48キロ級

 女子48キロ級の世界女王、浅見八瑠奈(23=コマツ)が、ロンドン五輪の金メダルに大きく前進した。世界選手権2連覇の浅見は、決勝で元世界女王の福見友子(26=了徳寺学園職)と対戦。2分26秒、劣勢をはね返して一本を奪い、初優勝した。五輪への最大のライバルを直接対決で下し、完全に頭ひとつ抜け出した。

 浅見は焦った。過去6度福見と対戦しているが今までとは違った。「どんどん技を仕掛けられた。ペースを握られた」。しかし、ロンドン五輪への思いが体を動かした。自分を引き込もうとする福見の動きに合わせて、右足を出した。小外刈り一本!

 「たまたま足がかかった。気がついたら勝っていた」。無意識に放った足技で、この大会初優勝を果たした。

 09年世界選手権優勝の福見は、ロンドン五輪出場へのライバルだ。10、11年と世界選手権を連覇したが、決勝の相手はいずれも福見だった。世界3位以下を引き離す2人の実力。「どちらが出ても金メダル確実」と言われてきた。しかし、出場枠は1つ。「夢はロンドンに出て、金メダルをとること。ここで勝たないといけないと思った」と、ホッとした様子で話した。

 日本女子代表の園田監督は「浅見は劣勢の中で、よくあの技を出した。これで頭ひとつ抜け出した」と話した。「あくまでも最終選考会は来年5月」と言いながらも「(来年1月の)マスターズに勝てば…」と当確をにおわせた。浅見は「リードしたという実感はありません」と冷静だが「代表になる自信は?」と聞かれ「あります」と即答した。

 「負け試合だった」「反省してやり直したい」と自分に厳しく話したが、直接対決で大きな白星を手にしたのは事実。福見との対戦成績も4勝3敗と初めて勝ち越した。山梨学院大から今春コマツ入りし、体力トレに取り組んで筋力もアップ。「力強さが出たかな」という浅見が、一直線でロンドンまで突き進む。【荻島弘一】