「甲子園よりオリンピックに行かない?」。スポーツ庁の鈴木大地長官(49)が3日、高校球児の五輪競技転向を推奨した。同庁創設から1年を経過したこの日、鈴木長官は競技力向上へ「鈴木プラン」を発表。高野連とも協力し、人材発掘を強力に推し進めることを明かした。「17万高校球児のうち10万人以上は試合に出ずに終わる。ここにも人材はいる」と、メダル候補発掘に意欲をみせ、口説き文句まで披露した。

 人材発掘は同プランの大きな柱。現状は各競技団体ごとにジュニア世代から発掘するのが主だが、限界がある。各都道府県などタレント発掘事業を発展させ、日本体協のネットワークを生かして各地でトライアウトを実施。部活動を終えた選手や応援に回った選手などを対象に転向への支援をする。中体連、高体連などとも連携するが、運動能力が高く、精神的にも強い球児には「金メダルの卵」がいる可能性が高い。

 高野連に協力を依頼した鈴木長官は「怒られるかと思ったが、歓迎された。高校野球界も、人材を持てあますのは憂慮すべきこと」と手ごたえを口にした。20年東京五輪・パラリンピック以降を見通した強化戦略プランの策定など強化策は多岐にわたるが、球児の五輪転向は「大地改革」の目玉になりそうだ。