日本バレーボール協会は25日、東京都内で理事会を開き、日本代表の監督に、男子はプレミアリーグ堺の部長を務める中垣内祐一氏(48)を選出したと発表した。中垣内氏は12年に週刊誌で不倫疑惑を報じられ、一時は現場を離れたが、20年東京五輪に向けて2大会連続で五輪出場を逃したどん底からの復活を託された。新監督は今季のプレミアリーグ終了後の来春に就任予定。任期は2年だが、東京五輪までの続投が基本線。今日26日に記者会見する。

 中垣内氏は現役時代、日本代表のエースとして活躍し、92年バルセロナ五輪では6位入賞に貢献した。04年の引退後は堺の監督に就任し、2季目に8年ぶりのリーグ優勝に導いた。南部正司監督、元男子主将の荻野正二氏を含む3人の候補者と面接などを行った日本協会の木村憲治会長は「東京五輪への計画がより明確だった。選手としても指導者としても実績もある」と、中垣内氏の選考理由を説明した。

 理事会では満場一致ではなかった。理事16人による多数決をとった際に白票が2票あった。中垣内氏は男子の日本代表のコーチを務めていた12年7月に週刊誌で不倫を報じられ、日本協会から口頭注意を受けた。コーチを辞任した後は現場から離れ、約3年間は新日鉄住金の社業に従事している。選考段階では選手に示しがつかないという懸念の声が上がったという。

 木村会長は「(不倫は)民法上は不法行為であり、道義的にも問題は」と指摘した上で「本人がどれだけはね返すかという期待もあるし、真摯(しんし)に受け止めた上で成果を出すのが責任」と話した。過去の問題にこだわらず、日本オリンピック委員会(JOC)の事業で09年から約2年間、米国で研さんを積んだ経験などを買った格好だ。

 木村会長は、東京五輪での目標を「メダル4つ」と明言し、ビーチバレーも含めた男女全種目でのメダル獲得を掲げた。だが、世界から明らかに後れを取っている男子復活への道は険しい。現役時代に「ガイチ」と呼ばれて人気を博した中垣内監督に重い責任がのしかかる。【岡崎悠利】

 ◆中垣内祐一(なかがいち・ゆういち)1967年(昭42)11月2日、福井市生まれ。福井・藤島高から筑波大を経て新日鉄(現堺)入り。筑波大在学中の89年に日本代表に初選出され、跳躍力を武器にウイングスパイカーとして活躍。92年バルセロナ五輪では6位。00年シドニー五輪出場を逃し、代表を引退。04年に堺で現役を引退した。11年4月から13年1月まで男子代表のコーチを務めた。