阿部兄妹の時代が到来だ。女子52キロ級の阿部詩(17=兵庫・夙川学院高)が、決勝で立川莉奈(21)に一本勝ちし、初優勝した。準々決勝では世界女王の志々目愛(23)を下し、圧倒的な存在感を見せつけた。男子66キロ級は世界王者の兄、一二三(20)が2連覇を達成し、兄妹優勝を果たした。今夏の世界王者が今大会を制すと来年の世界選手権(アゼルバイジャン)代表に内定し、一二三と男子60キロ級の高藤直寿(24)が代表権を獲得した。

 52キロ級には阿部詩がいる-。世界選手権優勝の志々目、準優勝の角田夏実の強豪がいる中、圧倒的な存在感を示した。ヤマ場は「絶対に勝たないといけない相手」という志々目との準々決勝。開始2分、浮き落としの技ありで優勢勝ちを収め、その勢いで決勝では豪快な背負い投げで一本勝ちした。「今日は100点。実力も出せて、勝ちたいという気持ちがありながらも落ち着いて試合を判断できた」。前大会準優勝のリベンジも果たし、一回り成長した姿も見せた。世界選手権代表に選出されなかった悔しさを胸に1年間、肉体改造と寝技強化に励んだ。「今日で(自分のことを)みんなに分かってもらえた。阿部詩の時代を20年(東京五輪)まで続けていきたい」と力強く宣言。2連覇の一二三も妹の活躍を頼もしく感じ「2人で東京五輪優勝のイメージがついてきた。兄妹でありながら良きライバルです」と実力を認め、兄妹の飛躍を誓った。