2年ぶり5度目の優勝を狙う明成(高校総体2位=宮城)が、男子3回戦で洛南(京都)に62-59と競り勝った。第1クオーター(Q)で9-14とリードを許すと、第2Q途中には八村阿蓮(あれん、3年)が4つ目のファウル。エースを温存せざるを得ない苦しい展開を、相原アレクサンダー学(3年)が両チーム最多18得点の活躍で救った。31年ぶり出場で初勝利を挙げた秋田工、11年ぶり出場の日大山形は敗れ、東北勢は男女を通じて明成だけが残った。

 阿蓮がダメでもアレックスがいるぞ! 米国人の父と日本人の母を持つ明成の相原“アレックス”が、存在感を見せつけた。49-53とリードされた第4Qに、追い上げの起爆剤となるシュートを立て続けに決めると、直後に3点シュートで逆転。残り32秒で2点差に詰め寄られても「声だ、声」と仲間を鼓舞。相手3点シュートのリバウンドを相原がキャッチ。高校総体では決勝で福岡第一に1点差で敗れた悔しさも生かし「自分たちのペースじゃない時にいかにコートでしゃべれるか。雰囲気を盛り上げていくことが勝ちにつながった」と胸を張った。

 東京・梅丘中時代からコンビを組む八村が、第2Q早々に4つ目のファウル。退場にリーチ。ベンチに下げられ落ち込む“相棒”にも「任せとけ」とひと声。今夏の国体優勝メンバーが中心の相手を切り裂くドリブルから計18得点。パスワークで田中裕也(2年)の3点シュート5発も導いた。初戦敗退の昨年は、自身が5ファウルで退場しているだけに「阿蓮がいなくても、強い気持ちで自信を持ってやった」。終盤はコートに立った八村にハイタッチされ、笑顔があふれた。

 卒業後は父デイビス・エディさん(46)の母国に渡ることも考えたが、青学大進学が内定。ビーチバレー選手の姉キヤナ実枝さん(19)とは、きょうだいで24年五輪に異競技で出場する夢も抱いている。家族で観戦した母英子さん(43)は「小学生の時の空手でも、常に姉に勝てず2番。都大会でも強い子がいて2番。優しいのがとりえですが、今年こそ日本で一番に」の願いも通じた。

 佐藤久夫コーチ(66)も「みんなハートが優しすぎる。私そっくり」と物足りなさを感じつつも「アレックスはよくやった。うれしいね」と絶賛した。今日27日の準々決勝に向け、相原は「油断はしません」。八村との“あれアレ”コンビで2年ぶり頂点をつかむ。【鎌田直秀】