明成(宮城)が、今夏の全国高校総体覇者の福岡大大濠に79-72で勝ち、2年ぶり5度目の優勝を果たした。エースの八村阿蓮(あれん、3年)が両チーム最多の32得点、14リバウンドをマーク。13年から同校で3連覇した兄塁(米ゴンザガ大)に続いた。八村は大会得点王に輝き、優秀選手賞にも選ばれた。

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 八村は優勝のブザーを聞くと、東京・梅丘中時代からともに戦ってきた相原、塚本と抱き合った。夏に高校総体決勝で敗れた相手に雪辱し「自分たちの練習を信じて…」と言葉に詰まり、Tシャツで顔を覆った。兄塁は2年前に3連覇。「塁には『やっと、1歩近づいたぞ』と言いたいです」。偉大な兄の背中を追い続け、高校最後の大会で同じ優勝を成し遂げた。

 決勝でも主役だった。第1クオーター(Q)。いきなり3点シュートを沈めた。「最初は絶対に外から行くと決めていた。決めれば周りも寄ってくる」。中だけじゃなく、外からも得点できる能力を見せつけた。ゴール下でも得点を重ねて、計32得点をマーク。守備でも第4Q、残り2分を切って3点差に追い上げられた場面で、相手エースのシュートを止めて反撃を防いだ。

 いつも試合で活躍すれば、米国にいる塁から「やったね」と母を通じてお祝いの電話がかかってくる。今大会の決勝直前にも「自分の責任を果たせ。自信を持て」とLINEが届いた。大会前の20日に右膝半月板を損傷。たまった水を抜き、連日のトレーナーの懸命な処置で出場にこぎつけていた。塁からの激励は最大の力になった。

 NBA入りも視野に入れて米国で活躍している塁とは違い、東海大に進学予定。将来はBリーグ入りを目指す。「日本のバスケを盛り上げたい」と兄弟での20年東京五輪日本代表入りにも挑む。今後も2人で切磋琢磨(せっさたくま)し、低迷する日本男子の救世主になる。【秋吉裕介】