昨年9月のカヌー、スプリント日本選手権で飲み物に禁止薬物を混入されてドーピング検査で陽性となり、その後暫定的な資格停止処分を解除された小松正治(25=愛媛県協会)が10日、日本代表の合宿先である石川県小松市内で取材に応じ、混入した鈴木康大(32=福島県協会)について「やってしまったことが重大なので仕方ない。今は反省をしてほしい」と話した。

 小松選手はその上で「自白してくれなかったら資格停止処分のままだった。そこに関しては感謝したい」と付け加えた。冒頭では「まさか日本でこういうことがあるとは思わなかった」と語るなど、終始硬い表情だった。鈴木選手は日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から8年間の出場停止処分を受けた。

 JADAに、一度は暫定的な資格停止処分を科された小松は「東京はもう無理だ、という絶望感があった」という。この事実を真っ先に鈴木に伝えると「取りあえず日本カヌー連盟に相談したら」と返答されたという。

 宮城県出身の小松は昨年のスプリント日本選手権で男子カヤックシングルを制し、14年の仁川アジア大会(韓国)にも出場した。

 小松は昨年11月、禁止薬物を混入されたほか、競技で使用する道具を盗まれたとする被害を石川県警に相談。県警は鈴木から任意で事情を聴くなど捜査を進めている。