新生日本代表がチームTRで90・7041点をマークして優勝した。シンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミング(AS)に名称変更されて初の国内大会は、昨夏世界選手権から5人が新加入。20年東京オリンピック(五輪)に向けて「AS1勝」を挙げた。

 井村ヘッドコーチ(HC)は、最後にばらつきがあったTRに出場した新メンバー3人から「音楽が遅く聞こえた」という言葉を聞いた。涙を見せた新加入選手に「人間はエキサイトすると曲がスローに聞こえる。(本番を想定せずに)練習のための練習をしているから」とピシャリ。優勝は果たしたが「ひどいですね。日本代表として最低限到達するレベルに比べるとだめ」と首を左右に振った。

 あらゆる意味で新しいスタートだ。昨夏世界選手権は表彰台争いでウクライナに後れを取り、選手の大型化を決断。今大会メンバー10人中5人が新加入。メンバーの平均身長は同選手権の165センチから166センチになった。強豪ロシア、中国、ウクライナと争うため1センチという細部にこだわる。井村HCは「少しは見晴らしがよくなった。私の仕事は下手な子をうまくすること」と腹をくくっている。

 1934年に米国で「シンクロナイズドスイミング」と名づけられ、84年をへてASとなった。中牧は「まだとっさに『シンクロ』と書くことがあります」という。新生マーメイドジャパンはほろ苦い「AS1勝」から東京五輪へのスタートを切った。【益田一弘】