“エリマコ”こと穂積絵莉、二宮真琴(ともに24=橋本総業)組が、惜しくも日本女子ペアとして4大大会初の優勝を逃した。

 第6シードのクレイチコバ、シニアコバ(ともにチェコ)組に3-6、3-6のストレートで敗れた。しかし、決勝進出も日本女子ペアとしては史上初で、日本のテニス界に新たな歴史を刻んだ。

 手には、希望の金のトロフィーはなかった。準優勝の銀のプレートを手にし、二宮は「わたしもトロフィーにチューしたかった。イメトレできてたのに」と思わずこぼした。穂積は、急きょ駆けつけた母盛子さんがいる家族席をながめ「本当に悔しくて、家族席の方を見ていたら涙が出そうで」とつぶやいた。

 相手の意外なほど遅いペースに、リズムを乱された。エリマコは、早いストロークの打ち合いから、山なりのロブを自ら放ち、相手の陣形を崩し、自分たちのリズムをつくる。しかし、相手のストロークは回転がかかり、山なりの軌道で、早い打ち合いに持ち込めない。先にロブも使われ、二宮も「今日はやられたという感じが強かった」と、良さを封じられた形だ。

 それでも、ノーシードからの快進撃で、日本テニス界に歴史を刻んだのは胸を張れる結果だ。穂積は「次につながる。悔しいけど、下を向くような感じではない」。二宮は、この決勝進出で、自分のテニス人生に大きな決断をした。「シングルスを捨ててでも、ダブルスを究めたい」。

 20年東京五輪(オリンピック)が2人の大きな目標だ。穂積は、8月の全米予選と日程がかぶるアジア大会のシングルスに出場する。アジア大会のシングルス優勝者には、東京五輪からアジア枠が与えられ、東京五輪代表第1号の可能性がある。「わたしは単複で出たい」。

 二宮は、東京五輪のためにダブルスを優先する道を選んだ。「東京五輪でメダルが取れるチャンスがあるなら、わたしはダブルスだなって思った」。優勝には及ばなかったが、それぞれの道を指し示す、大きな準優勝となった。