Wリーグ新潟BBラビッツのCF畑中美保(32)が、存在感を漂わせながら10月の開幕に備えている。1戦目の立大戦では8得点4スチールと要所を押さえた内容。昨季の33戦全敗から再起を図る今季、Wリーグ在籍11年目のベテランが堅実なプレーでチームを支える。

 チャンスの気配は逃さない。パスをさばいた畑中は、オフェンスリバウンドに備えてポジショニング。相手と体をぶつけ合いながら、味方が拾う間をつくる。大学生との対戦でも、自身の軸になるプレーをしっかり貫く。

 1試合目の立大戦は4スチールで攻撃の土台にもなった。そして自らも決めた。「リングに向かっていく」。味方がボールを出しやすい位置でもらい、3点シュート1本を含む8得点をマーク。ハーフゲームの2試合目、大阪大谷大戦は約11分間の出場で6得点。安定感を発揮した。

 新潟を含め3チームに所属し、今季がWリーグで迎える11年目。チーム最年長のベテランは、自身の進歩を求め続ける。「今季は周囲を生かすプレーをしながら、積極的に自分からも仕掛ける」。もともとアシストの1つ前での起点づくりや、相手を追い込む守備など数字に表れない仕事を的確にこなすタイプ。そこに得点をプラスすることで、チームに貢献することが今季のテーマだ。

 「経験があるし、特に守備は安心して見ていられる」。小川忠晴監督(48)は信頼を寄せる。畑中が刺激を受けている存在がいる。なでしこリーグ新潟のFW大石沙弥香(33)とFW上尾野辺めぐみ(32)だ。5月、デンカSでINAC神戸を1-0で破り、今季初勝利を挙げた試合を観戦。同年代の2人がチームをけん引する姿勢に気持ちを高ぶらせた。

 33戦全敗で最下位12位に沈んだ昨季の悔しさは忘れない。それ以上に「何かを成し遂げたいという思いがある」。自身を充実させることで、チームに刺激を与えるシーズンにする。【斎藤慎一郎】

 ◆畑中美保(はたなか・みほ)1985年(昭60)11月6日生まれ、石川県出身。七尾商(石川)から大阪人間科学大に進み4年のときにインカレで準優勝。08-09年にエバラ(現羽田)に入団。13-14年に山梨に移籍し、14-15年から新潟に。16-17、17-18年は副主将を務めた。ポジションはCF。177センチ、64キロ。背番号14。