19歳の原田海(かい、神奈川大)が、ボルダリングの世界チャンピオンに輝いた。初出場の世界選手権で、W杯でも表彰台に乗ったことのない新鋭が、最高の結果を手にした。

原田は1課題目から最終4課題目まで全て完登。暫定1位で迎えた最終4課題目、1つ1つのホールド(突起物)を丁寧につかみ登っていき、トップホールドに手をかけると、ぶら下がったまま勝利の喜びをかみしめた。会心の1撃(1トライ目で完登すること)で優勝を決め、壁から降りるとうずくまり、こみ上げる感情のままに大粒の涙を流した。

表彰式後に金メダルを手にした原田は、目を潤ませながら日の丸を背に君が代を聴いた。「まだ実感がないです。国歌を他の人が流すのは聞いたことあったんですけど、自分が流すのは新鮮で、染みるものがありました」と表情をほころばせた。

「いつも通りやれば大丈夫」決勝では何度も繰り返し自分に言い聞かせた。「自分のムーブ(登り方)を信じて、思い切ってやった結果です」と胸を張った。

日本代表の安井博志監督(43)も「ホールドをつかむタイミングが心と体がぴたっと合って、見てても気持ちよかったです。決勝前に話したときに『いま日本チームは(野口の女子ボルダリング銀)メダル1個ですよね。じゃあ僕が取ります』と言ったくらい、精神的にも体もいい感覚があった。神がかってました。頼もしかったです」と目を細めた。

男子ボルダリングは、16年前回大会の楢崎智亜(22=TEAM au)の優勝に続き、2大会連続で日本勢が優勝した。