阿部兄妹が世界の頂点に立った。女子52キロ級代表の阿部詩(18=兵庫・夙川学院高)が決勝で17年世界女王の志々目愛(了徳寺学園職)を下し、全5試合オール一本勝ちで初出場初優勝を果たした。男子66キロ級代表の兄、一二三(21=日体大)も2連覇を果たし、日本柔道史上初の兄妹優勝を果たした。

兄が、妹に続いた。一二三は、初優勝した詩の前を通って決勝の舞台に上がった。開始からセリジャノフ(カザフスタン)を一方的に攻め立てて、妹と同じ内股で一本勝ちした。「ホッとしている。前に前に一本をとることしか考えてなかった。覚悟は決まっていたが、妹の優勝でより一層、気持ちも覚悟も固まった」と口にした。

昨年の世界選手権とグランドスラム東京大会を制し、全柔連が導入した新しい選考方法により昨年12月に代表に内定。20年東京オリンピックまで「負けなし」の目標を掲げたが、7月のグランプリ、ザグレブ大会で3年ぶりの黒星。国際大会の連勝が34でストップした。「あの負けがあったからこそ、スキのない柔道をブレないでやろうと思った。どこからこられても負けない強さを。チャンピオンらしくしたい」。豪快な柔道を取り戻した21歳が「絶対王者」であることを証明した。