4年ぶりに現役復帰した10年バンクーバー・オリンピック(五輪)男子銅メダリストの高橋大輔(32=関大KFSC)が復帰2戦目のSPで83・56点を記録し、首位発進を決めた。06年トリノ五輪SPでも経験した1番滑走の重圧をはねのけ、上位12人が進む全日本選手権(12月20日開幕、大阪)へ大きく前進した。フリーは今日4日に行われる。

男子SPが始まった午後4時40分。高橋が6分間練習のリンクに足を踏み入れると、空気が一変した。約2300席が完売した客席は「DISK」タオルでピンク一色。「結構1番(滑走)が好き」と公言したベテランの心も揺れた。緊張感は復帰戦で3位に入った9月の近畿選手権以上だった。

練習から息つく間もなく坂本龍一作曲の「ザ・シェルタリング・スカイ」が流れる。6分間練習で転倒もあったトリプルアクセル(3回転半)を決めると、新しい紺の衣装に身を包んだ男の世界観に場内を染めた。繊細なピアノの旋律を感じ、手先まで柔らかく使って新調したスケート靴を滑らせる。フリップ-トーループの連続3回転は後半のトーループで手をつくミスがあったが、演技構成点は参加選手唯一の8点台(10点満点)を5項目全てで並べた。1カ月前とは違った手応えがにじんだ。

「(目指す演技に対し)近畿は(100点満点で)10点ぐらいで、今日は40点ぐらい。スタートとしては良かった。(ただ、1番滑走は)もう2度としたくありません」

ジャンプは高さ、質、幅、着氷後の流れも「自分比の中で良くなってきている」と確かな実感がある。4回転は練習を積めておらず、今大会も回避。それでも出場に大きく前進した全日本選手権では「1本、入れたいという気持ちがあります」と向上心は燃え上がり「今のところ(順位が)1番なら、それはうれしいです」と笑顔を見せた。

フリーは最終滑走で、SP1番滑走と合わせて06年トリノ五輪と同じ流れになった。ブランクが顕著になるフリーを乗り越え、新たな境地に進む。【松本航】