男子で東福岡が2回戦に進んだ。大塚(大阪)に2-1で逆転勝ち。第1セットは20-25で落としたが、第2、第3セットを25-23、25-20で連取。15、16年大会で連覇を達成も、その後の2大会は初戦で敗れており、3年ぶりの勝利になった。

注目の1年生大砲もさすがに緊張していた。背番号9を背負うウイングスパイカー、柳北悠李(やなきた・ゆうり)。「初めての春高だし、3年生にとっては最後の大会ですから、僕が入って負けたと言われたくなかった」。第1セットは両足がコートに粘着テープでくっついてしまったように動かず、表情もガチガチ。持ち味の強打も影を潜めていた。

「柳北はもちろん、全員の足が動いていなかった。思わずこのこれまでの2年が頭をよぎりましたよ」と藤元聡一監督。第1セットを失った後、「とにかく、足を動かして、拾って、粘れ!」という監督の指示で、選手たちはようやく目を覚ました。第2セットを競り勝つと、最終第3セットは柳北がバックアタック、レフトからの強打、ブロックで貴重なポイントをマーク。特にチーム21点目になったブロックポイントで4点差とし、粘る大塚を突き放した。

192センチ、89キロ。がっちりとした体格はラグビー選手を思わせる。その体で最高到達点は342センチと高校生ではトップクラス。ウエートを乗せたスパイクは鉛のように重く、相手レシーブをはじき飛ばすほどパワフルだ。U18日本代表として昨年6月から7月にかけてイランで開催されたアジアユース選手権に出場し、得点源として連覇に貢献している。

「僕はもともと引っ込み思案な性格なんです。でも、高校に入って大きな大会も経験して、精神面も強くなったと思います」。それだけではない。最高で93キロあった体重も炭水化物を控えるなどして約4キロ減量し、プレースピードと体の切れが増し、ジャンプ時の滞空時間も長くなったという。

笑うとまだあどけなさが残る16歳。ただ、大きな体に秘めたポテンシャルは日本の将来を担うと大器と期待されている。ダブルエースを組む山下晃(3年)が福岡予選決勝で左足を骨折して復帰したばかり。その分、「優勝は柳北の活躍次第。今日の出来は10%ぐらい。これから力を出してもらわないと」と藤元監督も1年生エースに期待する。「小学校のころから憧れていた舞台。先輩たちと一緒に絶対優勝したい」。作夏の高校総体では準々決勝で鎮西(熊本)に敗れてベスト8に終わった。高校生活初の日本一へ、柳北の強打が爆発する。【小堀泰男】

◆柳北悠李(やなきた・ゆうり)2002年(平14)9月20日、北九州市生まれ。バレーボールをしていた祖母の影響で小学5年からクラブチームでプレーを始める。同市立板櫃(いたびつ)中時代からエースとして活躍し、全国中学校大会出場。3年冬に福岡県選抜として全国都道府県対抗中学大会で最優秀選手賞(JOC賞)に輝いた。192センチ、89キロ。