千葉ジェッツが栃木ブレックスに勝利し、史上7チーム目の全日本選手権(天皇杯)3連覇を飾った。延長戦にもつれ込む激戦となった決勝。

延長戦残り16・1秒、相手のフリースローの間に大野監督は、最後の得点を司令塔富樫勇樹(25)に託した。68-69と1点を追う延長戦残り2・6秒。富樫が監督の期待に応える3点シュートを鮮やかに沈め、大逆転勝利を収めた。富樫は「パスをするか打つか悩んだけれど、(スペースが)空いたので思いきり打った。リングに入ってくれてよかったです」と興奮冷めやらぬ表情で話した。

千葉は本物の強さを証明した。持ち味のスピードバスケに加え、今季は粘り勝ちできる底力を身につけた。今大会のファイナルラウンド、準々決勝の川崎ブレイブサンダース戦では3点差を逃げ切り、準決勝のアルバルク東京戦では残り0・5秒、1点差ので逆転勝ち。決勝でも第1クオーター(Q)からリングに嫌われる時間もあり、連係ミスからの失点など苦しい時間が続く中でもあきらめなかった。11点、第2Qに12点差を離されても、その都度追い上げた。Bリーグ16-17年シーズンのチャンピオンシップ準々決勝で栃木と対戦した際には、前半でリードをするも後半はチームとして崩れてしまったことも、今や昔。チームで勝ちきる土壌が、着実に育ってきた。

信頼とプライド-。富樫は言う。「今Bリーグ全体でもトップに立っているし、開幕の時にはチームがプレーでもばらばらだったけれど、完成度は試合を通して高まっているし、リーグ30試合を通して、信頼もつくってきた」。

これで3度目の天皇杯制覇となったが、千葉にとってはもう1つ、どうしても欲しいタイトルがある。10年にクラブ創設、11年にリーグに参戦して以来、いまだリーグ優勝の経験はない。「今年こそは優勝したい」と言葉に力を込め、天皇杯を制したスピード感のままに、次は悲願のBリーグ優勝に向けて走り抜ける。